ロハスとエコ
ロハスと似た意味でエコという言葉があります。エコはエコロジーとエコノミー両方の意味を兼ねています。では、ロハスとエコに違いはあるのでしょうか?――それは答えがあってないかもしれません。何故なら多くのメディアが、両者を同じ意味として使っているからです。本サイトでも言葉が混在しています。
しかし、ロハスとエコの本質は違います。エコはエコノミーの意味を持ちます。そこには、お得感を好み、節約志向のイメージがあります。一方、ロハスは、三浦展さんが指摘する高所得という特徴から、決してエコノミーを好む訳ではありません。商品の選択に対して、質へのこだわりが強くあります。即ち、ロハスとエコは共に環境(エコロジー)に配慮したライフスタイルを選択する点で、意味を共有しますが、購買行動は異なります。
例えば車の購買を考えてみます。ロハス志向からは、CO2の排出が少ない、ハイブリッドカーを選択すると想定されるでしょう。一方、エコな観点からは、ハイブリッドカーを購入しなくとも、同じ車に乗り続けるか、中古車を購入する選択もあります。或いは軽自動車の購入であれば、燃費もいいし、車体製造にかかる原料コストが少ないので、製造エネルギーが少なくて済みます。
環境用語でライフサイクルアセスメント(LCA)というのがあります。これは、工業製品の調達⇒製造⇒流通⇒使用⇒廃棄に係わるすべての工程での資源の排出量を定量化し、環境への影響を評価する方法です。CO2の排出が少ないハイブリッドカーも、車体が大きければ、製造にかかるCO2が増加します。折角の車も短サイクルで買い替えすると、全体のCO2が増えます。LCAは環境問題を考える上で、重要な指標となります。
人はそれぞれ興味の方向が異なります。たとえ高所得者でも、車は軽でいいと考える人もいるでしょう。自分がこだわりを持ったモノに対しては、ロハスな選択、それ以外はエコな観点で消費するといった使い分けが必要だと思います。ロハスとエコが個人の感性に共存する状態になれば、両者の違いを余り意識することはないでしょう。
ロハスの思考/福岡伸一
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