3月号(No.12 2006年3月1日)

先日、幼稚園のグループ送迎で悲惨な事件があったことをきっかけに、再び小学校の登下校時の安全対策について頻繁に取り上げられるようになりました。この加賀原近辺は緑豊かな田園風景が残る地域だけに小学校入学を控えたご家庭の不安は計り知れないだろうとお察ししています。例年この時期、小学校の入学説明会を過ぎるころになると保護者の方から「保育園時代がどんなに恵まれているか気づいた」との声が寄せられます。保育園としてはできる限りの安全対策をとっているので、そのことを理解していただけた、とありがたい気持ちと同時に小学校の放課後児童対策の不備についての疑問を感じています。 そんなことを思いながら川和東小学校のくすのき祭に行かせていただきました。ひよこの卒園児が何人か通っているので、みんなどんなにしているかなぁ、と様子を見に行ったのですが、それぞれクラスの子どもたちと一緒に一生懸命参加している姿に、ほっとしました。プログラムに「子どもたちの活動の中で、この1年間の学習で身に付けた力がいろいろな形で現れ、発揮される」と書かれていましたが、入学以降、1年の間に、保育園時代とはことなる経験、時にはかなり厳しい経験をたくさんしただろう子どもたちがとてもいとおしく、また、子どもたちの持つ発達の未知数に尊厳さえ感じました。 ひよこ保育園の子どもたちはまだまだ幼く、「食べて、眠って、遊んで」が生活のメインテーマの時代ですが、だからこそ、そこをしっかり保障することが私たち保育者に厳しく求められているのですね。 満3歳の誕生日を間近にして、歩んで行く方向が定まり、保育の輪郭が形作られつつある感の都筑ひよこ保育園ですが、18年度はさらに「子どもが育つときに1番大切なことはなにか」職員がみんなで探しながら、子どもたちが大好きな保育園づくりにはげみます。




2月号(No.11 2006年2月1日)

先月中旬よりA型インフルエンザや感冒性の下痢症が大流行しており、毎朝、事務所の電話は欠席の連絡で大繁盛です。また、4月からの入所申込も区役所で行われたのでそのための問い合わせが引きもきらず、電話対応の職員がほしいなぁとつくづく思っています。入所の申込は個別の保育園で行うのではなく区役所で一括し、入所の決定も審査会が行う事はご承知のとおりですが、初めての方は直接園長に交渉しに来られ、 いろいろなご事情を話されて行かれます。今の時代、どの方も本当に切実なご事情を抱えておられ、保育園が必要であることを改めて深刻に感じさせられています。  テレビでは毎日、耐震構造設計偽造疑惑や○エモンにまつわる報道がなされています。桁の違うお金の動きに翻弄された人生の光と影が面白おかしく取り上げられ、視聴者を飽きさせませんが、被害にあわれた方の悲しみと憤りはどんなにか計り知れないことでしょう。  横浜の保育園では昨年末以来、「法外扶助費削減」の激震に見舞われています。法外扶助費とは国基準の保育所運営費に上乗せしているお金で、児童の処遇改善や職員の待遇改善、施設経営の健全化、安定化を図るために使われるものです。国の基準では0歳児3:1、1・2歳児6:1、3歳児20:1、4・5歳児30:1という保育士配置基準ですが、横浜市ではそれぞれ3:1、4:1、5:1、15:1、24:1 というように法外扶助費によって保育士の配置を改善しています。とはいっても現実に子どもたちと接している保育士はとても十分な保育士配置とはいえないと感じていますが。   平成18年度は手始めに長時間の保育に対する補助金を中心に10〜30%の削減が予定されています。さらに19年度はもっと見直すと福祉局は言っています。  いろいろな悲惨な事件の多い昨今だからこそ、人間の大事な根っこの部分を十分にゆったりと育ててあげたいと思いながらも、福祉をめぐる状況はどんどん厳しくなっていくようです。ひよこ保育園でも例に漏れず、18年度予算の作成に頭を悩ませていますが、隅々まで無駄遣いを見直し、保育の質を落とすことなく支出を抑えてのりきりたい。こんなときだからこそ保護者の方々とともに子どもたちの育ちに喜びと希望を見出して行きたいと思うのです。




1月号(No.10 2006年1月1日)

 あけましておめでとうございます。 心待ちにしていた年末年始のお楽しみも始まってしまえば「あっ」という間にすぎ、また新たな日々の始まりです。年末年始は家業のかきいれ時、と休む間もないご家庭もある中、長い休日をいただきありがとうございました。ひよこ保育園は実家を離れて1人暮らしをしている職員が多いので、親兄弟や友人に久しぶりに会い、話も弾んだようです。また、心と体をリフレッシュして子ども達と新鮮に向かい合えると思います。  新年早々、新聞紙面では日本が当初の見込みより2年ほど早く人口減少社会に突入した、とのニュースが報じられました。1人の女性が一生の間に生む子どもの数、いわゆる特殊合計出生率が1.29(史上最低)と騒がれだして、その原因究明が何やかやと取りざたされ久しいですが、いよいよ火の粉がわが身に降りかかろうとしている感があります。今12歳の子どもが成人になる2020年ころには高齢化社会がピークになり、 親が子どもを育て、高齢化した親を成人した子どもが守るという「扶養連鎖」が成り立たなくなるとも言われています。  少子化の原因が、「結婚し、家庭を築き、子どもを生み育てる」ことの価値観と願望が希薄になったこと、ディンクス、パラサイト・シングルという言葉が日常会話の中で屈託なくはやる風潮にあるのか、子どもを生み、育てるにはあまりに厳しい経済・労働状況、世情なのでしょうか。  保育園の職員の中にも一般的に適齢期といわれる女性・男性が大勢います。私は個人的には、「人生いつでも適齢期」と考える部類の人間ですが、保育園という職場を考えたとき、「結婚しない」「子どもを持たない」ことが普通である狭い社会にはしたくないなあ、と思います。  大勢の子どもと保護者の方々、そして職員たちが織りなすひよこ保育園での日々の営みが、働き、暮らし、子を生み育てるという、長い間連綿とつないできた人間らしい生き方にぴったりと沿うものであってほしいと思います。  子どもをめぐる状況の厳しさはこの横浜市でも、18年度からの大幅な補助金の削減など例外ではありませんが、保護者の皆さんと職員との連携の輪で、悲惨な犯罪や虐待から子どもを守り、暖かいおとなたちのまなざしのなかで豊かな子どもの時間を過ごさせてあげたいと願っています。  今年もよろしくお願いいたします。




12月号(No.9 2005年12月1日)

 2週間ほど前、中庭の姫しゃらの木にイルミネーションを飾りました。夕方になってあたりが暗くなるころに点灯しています。乳児保育室前の廊下から白と青の電球がちかちかと点滅するさまが良く見えるので、ぐずって保育士に抱っこされている子どもも、みんな「あっ!あっ!」と指差しして泣き止みます。  はじめて飾った日のお迎え時、はとぽっぽぐみの○○ちゃんが帰り際に事務所に立ち寄り「ぴかぴか、ありがとう」と恥ずかしそうに言ってくれました。また、パート保育士のH先生が中庭のほか園庭、駐車場にもビオラとノースポールの苗を植えてくれました。チューチップとスイセンの球根もたくさん植えたので来春が楽しみです。  ひよこ保育園ではエントランスや廊下に観葉植物の鉢をたくさん置いています。初めのころは、子どもたちが土をこぼすのでは、という声もありましたが、今では違和感もないようです。ほとんどの子どもが長時間すごす保育園は「昼間のお家」ですので、堅苦しい施設らしくないくつろいだ雰囲気を大事にしたいと思い、その様にしています。また年齢によるクラス編成にはなっていますが、状況が許せばほかのクラスで過ごすことも子どもたちには認めているので、時々はおねえちゃん、おにいちゃんのクラスでご飯を食べたり、お昼寝したりも保育士同士の了解の下に、普通のこととして行っています。大人でも時として出勤が苦痛になる日もあるのですから、子どもだって登園したくない日があるでしょう。そんな時は自分のお家でのように保育園でも兄弟といっしょにしばらくの時間を過ごすことによって安心し、気分にゆとりができれば自分のちからで気持ちを立て直すことが出来るようになります。保護者の方々や保育士はじめ、世の中全体がせかせかとしている昨今ですが、「子どもには子どもとしての時間の流れがあり、その中で十分に子どもとしてすごせる環境を守ること」がしっかりと子どもを育てることの秘訣です。  ぴかぴか光るイルミネーションや花を見てきれいね、と感動すること。親との分離不安から自力で抜け出て、お友達と一緒に過ごす楽しさへと気持ちが広がっていくこと。一つ一つは毎日繰り返される些細な事柄ですが、そのような小さな感動や少しずつの成長の積み重ねによって、ある時、子どもは飛躍的に成長いくものなのだと今年もつくづく感じさせてもらいました。  今年も残すところ一か月。子どもたちとともに楽しいことをたくさん経験しながら送りたいと思います。 この1年、さまざまな形でのご協力ありがとうございました。




11月号(No.8 2005年11月1日)

年中行事の中でも大きな位置付けにある運動会を事故なく終えられて、ほっとしています。先月末に予定していた自治会主催のお祭りはあいにく順延になったため、参加できませんでした。ひよこ保育園は地域から通う子どもが多いので、「保育園の子どもたちを地域の方に知っていただき、交流する良い機会」とかんがえて参加を願い出たのですが、秋の催し事は天候に左右されることが多いので厳しいものがありますね。  運動会のアンケートについては多くの方から貴重なご意見や励ましのおことばを頂きました。ありがとうございました。保育園は生後2ヶ月から満7歳に近い子どもまで園児の年齢層の幅が広く、またそれぞれのご家庭のご事情もさまざまなのですべての方に100%満足していただけるやり方を1つにまとめるのは至難ですが、「子ども中心」をキーワードに置きながら、行事と保育のあり方そのものを繰り返し考え合わせ、また、保護者の方に理解していただく方法を検討していくことが、「子ども、保護者、職員」みんなの満足につながるのだろうなと思います。その意味でも、懇談会や保育園からのお便りなど活用していただければよいかなと思います。また、「保育参加」という手立ては保育園での子どもたちの様子や保育園について知る最も手っ取り早い方法です。「お子さんの誕生日」でなくても、また、事前予約をしていなくても、いつでも大歓迎です。「突撃」的参加も保育と保育士のありのままを見ることができておもしろいですよ。  月々に発行しているこの「ひよこだより」は前身の無認可保育所時代から通算20年間、1度も休むことなく続いています。毎月はじめ発行、を目標に、行事準備などで忙しい時には負担に感じることもありますが、保育園の歩んでいる方向や、何より子どもたちの様子や状況を保護者の皆様にタイムリーにお伝えしたいとの思いからです。中でも各クラスだよりには、担任が子どもをどのように見ているか、どのように毎日を進めようとしているか、子ども観や保育観、ひいては保育者としての到達点や個性が顕著に表れています。かわいらしいイラストもさりながら、文字で表現されている中味を読み取っていただければ保育園がより身近に感じられることうけあいです。  横浜市では今年度4月から延長保育料を30分刻みで保護者から徴収することにしましたが、さらに平成18年度、大幅な補助金の削減を検討しています。それは保育園に入れない待機児童を減らすために保育所をつぎつぎに建設しているため、建設に要する整備費や入所定員の増加による保育所運営事業費が大幅に増え続けていることによります。都筑ひよこ保育園もそのうちの1つなのですが、だからといって、補助金が減らされたり、無くなったりすることは人件費の削減に直結する問題なので非常に深刻な事態です。  現在の延長保育料以外に保護者の方から徴収する費用が発生することも考えられますので私立保育園園長会は今、横浜市福祉局との話し合いを重ねているところです。  保育をめぐる状況は今後、財政面でもますます厳しくなっていくのですが、だからといって保護者の方々と対立関係になるのでなく育児全般についての悩み相談、その他よろず相談、個人面談、家庭訪問など、保護者の方々と保育園が理解しあうために有効なことはどんどんしていきたいと思っています。




10月号(No.7 2005年10月1日)

遊歩道のこぶしやはなみずきの木々が赤い実をつけ始め、犬を連れて散歩する人の目を楽しませてくれています。好奇心の固まりであるかのような子どもたちにとっては、格好のおままごとの材料やおうちへのおみやげになっています。            保育園のある加賀原は港北ニュータウンのはずれに位置しているため、都筑区の持つイメージとかけはなれて自然に恵まれ、散歩から子どもたちが戻った後のエントランスには今の季節、まだ青みがかったどんぐりやススキの穂、色づいていない柿の実が置き去りにされていることもしばしばです。散歩の先々で夢中で収穫している子どもたちの表情がほほえましく思い起こされ、車の往来や人ごみなどの騒音に煩わされることなく、のびのびと保育の出来るこの地に保育園を開いていられることに感謝しています。  夏の間、思いっきりプールや水遊びを楽しんだ子どもたちはその分のエネルギーをもてあまし気味なのか、運動会が近づいてワクワクうれしいのか、いつも、ほかの保育園の方からも「元気いっぱいですね」といわれる子どもたちですが、このところ輪を掛けてハイテンションになっています。9月中に園内で大きな怪我が2回も起こったので運動会を控えて体を動かしたくなるこの時期、細心の注意を払って保育にあたります。  ワクワクといえば芋ほりも楽しみです。なんてったって「大きなバスが2台も!」保育園に来て、「おともだちといっしょに!」お出かけするんですから。(^^) 昨年、うさぎぐみのバスの中では、園を出発した早々に「いもほりってたのしいね!」というはしゃいだ声が聞こえてきました。「バスに乗ること=芋ほり遠足」と思ったようです。未経験のことを体中の信頼感で受け入れてくれる子どもたちの無邪気さって 本当に大切にしたい宝物ですね。




9月号(No.6 2005年9月4日)

夏の間子どもたちを楽しませてくれたせみや、かなぶんの死骸が道端のあちこちにみられ、夏の終わりを告げています。子どもたちの旺盛な好奇心の餌食となったけなげな「かぶとむしのぶんちゃん」は何匹だったのでしょう。おとなが「かわいそうだから」といいながらも、頭の半分では「科学の芽だから」と許容しているのを、するどく察知してずいぶんと乱暴な扱いをしていたようです。でも実際のところ、牛乳パックでの工作など幼児とは思えないほど細かいところまで観察して昆虫を製作するのがこの夏のブームにもなっていることからも、あながち多くの昆虫たちの死が無駄ではないのかなとも思います。
 戦後60年という節目の全国保育団体合同研究集会が広島で開催され、なんと7,753人の参加者だったそうです。7月31日〜8月2日という真夏のじりじりと照りつける太陽の下、体育館や夏休み中の大学校舎で真剣に学び、討議し、少しでも明日の保育の向上を、と願う人々がこんなにいるんだ、と毎年の事ながら元気になってきました。今年は一人きりの参加でしたが来年は埼玉が開催地ですし、学習会や研修会は複数で同じテーマを共有したほうが実りが多いので全員で参加できればいいなぁと思います。
 夏の保育は開放的でいいです。水や泥んこなど子どもたちの育ちに不可欠な素材がゆたかで容易に手に入りますし、保育士にとっても思う存分に楽しませてあげられる満足感があります。ひよこ保育園では駐車場や中庭、園庭、ひなたぼっこデッキと各年齢ごとに何ヶ所も同時に温水使いたい放題で遊べるので、子どもたちはやりたい放題、水と戯れ、体中で楽しんでいます。また、こんなときはあまり小言をいわないで多少のことは目を瞑ってあげたいものだ、とも思います。子どもは遊びに熱中した体験を通して自分の心が十分開放されてこそ人の痛みがわかる心になれると思うからです。いたずらっ子でも多少乱暴が目立つ子であっても、心から楽しいと感じ、友達と笑いあっているときの笑顔はなににもかえがたいものです。友達同士の笑顔のかかわりでこそ子どもは健全に育つのですから、保育者という職業を選択した大人はそのことを深く自覚して、当然のことですが頭と心を遣って自分自身の資質を整え、日々の保育ではなるべく子どもをいらいらさせないで、屈託なく笑いあえるような保育を創っていきたいと願っています。戦争の陰のない平和な時代を創る努力と共に。




8月号(No.5 2005年8月1日)

 台風7号が去った後は文字通り、台風一過の猛暑でしたね。このところ、エアコンをつけていても子どもたちの熱気とガラス窓の多い園舎の構造のためか、なかなか利きが悪いようです。特に2階の廊下は南向きなので、直射日光の直撃を受け、蒸し風呂状態なので天津すだれを気休めに掛けています。予算の事情が許せば、2階デッキに日よけを設置したいと思ってはいるのですが・・・。午前中は毎日、プールあそび、日によっては午後にも2度目のプールあそびや沐浴などで、汗を流して保育園にいる間なるべく心地よく過ごせるようにしています。
そんな中、子どもたちの食欲には脱帽です。都筑ひよこ保育園の給食は一汁三菜で、有機野菜たっぷり、魚料理中心ですが、幼児クラスの子どもたちは本当に良く食べています。自分の皿に盛られた一定量を食べ終えるとほとんどの子どもはさっと席を立って自分でおかわりをよそっています。おまけにおかわり分がなくなると給食室へ自主的に「おかわりくださーい」と取りに行っていますが、給食室の先生方はいつもニコニコ笑顔で、見ていてほっとするほのぼのとした保育園らしい光景の1つです。
7月16日(土)、合同保護者懇談会が開かれました。参加者は少なかったのですが、園長による都筑ひよこ保育園が開園するまでの経緯の説明やクラス担任からの保育の実践報告があり、その後、参加された方々からも率直な感想やご自身の保育園探しの苦労談など出されて、終始和気あいあいとした会がもてました。ありがとうございました。
120人の園児とご家族、さらに40人を超す職員のかかわる大所帯ですので、いろいろなご家庭、多様な価値観があるんだなぁと毎日思わされていますが、ここでは何よりも子どもたちが、「今も、これからも一番幸せでいられるように」と願って、ともに歩んで行くことを大切にしていきたいと思います。そのためにも、行事や懇談会などにぜひご参加いただければと思います。




7月号(No.4 2005年7月1日)

 じめじめした夏が早くも到来し28日は6月としては観測史上、最高の暑さだったということです。熱中症で病院に搬送された方が多いというニュースどおり、日中、保育園を訪れる人はみな一様にぐったりですが、保育園の子どもたちはなんのその、暑さを味方につけて、心はまるで南国気分、プールが本当に楽しみな様子です。いっそのことアロハシャツや、ムームーをユニフォームにしたらどう?なんて笑っています。(^。^)  今年は戦後60年という記念すべき年です。60年とは終戦の年に生まれた子どもが還暦を迎える時間の流れを抱合しているわけで、私もあと○年で迎えるのですが、人によって長いような、あっという間であったようなそれぞれに一定の感慨を持って耳にする言葉です。開所時間13時間という長時間保育のお付き合いの中では、時としてたかが人生経験3〜4年に過ぎない子どもたちのはっとするような深い意味合いのある言動に出会ったり、若い保育士さんの子どもに接する態度や仕草に感動を覚えたりすることもたびたびですが、感性が研ぎ澄まされる経験と年齢とは無関係なんですね。いまさらですが無駄な年は重ねたくないなぁと思うようになりました。
 先日、新聞で沖縄戦の生き残りの方々が語り部として沖縄地上戦の悲惨さを伝える記事を読みました。体力の衰えとともに残された時間が徐々に減っていくのを実感し、自分の目で見たありのままを素朴な言葉で伝える生き様は胸に迫るものがあります。同じころ天皇、皇后のサイパン慰霊訪問のニュースも報道されていました。現地の方々の熱烈な歓迎を受けたそうです。また、首相の靖国神社参拝問題など、この時期になると戦争に付いての記事が頻繁に目に付きますが平和な日本に住む私たちの何人が戦争犠牲者について思いを馳せるのだろうかと思います。折りしも今年の全国保育団体合同研究集会は広島で開催されますので何か感じ取って来れればいいなと思っています。




6月号(No.3 2005年6月1日)

 先週末、月出松公園で第3回ひよこまつりを行いました。暑過ぎず、さわやかな風が心地よい中で在園児以外の幼児や学童も大勢迎えて、恒例の保育士によるミニシアターや輪投げ、的あて、手作りおもちゃコーナーをはじめ、すいかわり、ヨーヨーつり、綱引き、障害物リレーなど盛りだくさんに楽しいひと時を過ごしました。コーナー担当や自家用車を持ち込んでの搬入、搬出など当日お手伝いくださったお父さん、お母さん方、また準備を快く引き受けてくださったお父さん、お母さん方ありがとうございました。回を重ねるにつれ、協力をお申し出下さる人数が増えており、大変心強く、感謝しています。また、近隣の公園めぐり以来、保護者の方々の距離も近づいているようですが、親同士が親しくなると子どもたちはとても安心して、お友達との関係がぐーんと深まってきます。大人がいちいち介入しないでも子ども同士が仲良くなり、幼いながらに関係を築きあげていけるのは保育園ならではのことでしょう。また、行事に参加していただくことで、職員とも交流し、都筑ひよこ保育園について、良いところも、未熟なところもあわせてありのままにごらんいただけるのも行事のメリットかもしれませんね。感じたところを前向きなご意見としていただければと思います。

 都筑区では「都筑区地域子育て支援プラン」を策定し「地域での子育て支援の量的充実・質の向上、安心して子育てできる環境づくり」を目指しています。その中で(1)子育てに楽しみや喜びが感じられる親子の居場所づくり(2)みんなで子どもと家庭を見守る環境づくりが基本目標に挙げられています。

 保育園に通っているご家庭は子どもを通じて知り合いができたり、情報の交換ができたりと、「毎日の生活は時間に追われて大変」という実感はあるのでしょうが、一人ぼっちで子育てをしている専業主婦の家庭にありがちな子育ての負担感や、閉塞感、社会に取り残されているような感覚はあまり味わわなくてもすむのかな、と保育所のもうひとつの存在意義を思う所です。ひよこまつりのような地域の方々と触れ合う機会が生かされていけばいいなと思います。


5月号(No.2 2005年5月2日)

 「先生、見てー!」事務所の前でいつになく弾んだ女の子たちの声。「なんや?」と思いながら目を向けると、なんと自分たちの体より大きなこいのぼりを抱えながら得意満面の笑顔で立つ女の子数人がおりました。「くじらぐみの子が作ったんだよ!」もう、うれしくてうれしくて、といった風で、こちらも思わず「すごいねー」とうれしくなってしまいました。なんて子どもらしい笑顔なんだろう。なんてかわいらしい表情なんだろう。年長ともなると、わかってか、わからずしてか、時々こちらが度肝を抜かれてしまうようなませたことを言い、「今からこんなんで、末恐ろしいー!」と、すでに昔の人の領域にいる私としては太刀打ちできないで退散することもあるのです。でも、ひとたび、その年齢と発達にふさわしい課題が与えられたとき、(必ずしも与えられる事ばかりではなく、自分で発見することも多いのですが)子どもって本当にぐーんとのびやかに成長してくれるのですね。そしてそんなときは周りの人たちを巻き込んでしあわせモードにしてくれるのです。今更ながら、子どもの底ぢからに感心してしまいました。そして、またまた元気をたくさんもらいました。

「元気」といえば、園庭のケヤキが若々しいあおばを精一杯につけ、藤棚の藤もきれいに咲き始めています。昨年の梅雨は雨が少なく、夏は暑く、造園屋さんに、「土が固すぎて根っこが水を吸えないようで、枯れかかっているからちゃんと水をあげてください」と脅かされていましたので、ほっとしています。多くの方々からのご寄付によって買わせていただいたケヤキなので枯らすわけにはいかないのです。

3年目にはいって、この都筑ひよこ保育園で実現していくべき保育の姿が自分なりにわかってきたように感じています。試行錯誤しながらもこの保育園らしいことって何か、この保育園でなくてはできないことは何か、親と子と職員がもっとも幸せになることって何だろうと園庭のけなげな木たちを見ながら考えています。 


4月号(No.1 2005年4月1日)

  去る3月27日、すっきりと晴れた日曜日の朝、ランチルームで第2回都筑ひよこ保育園卒園を祝う会が和やかに行われました。卒園証書を一人ひとりうけとるとき、いつものやんちゃな顔がちょっと緊張気味に、引き締まり、とても立派で思わず見とれてしまうほどでした。卒園したくじらぐみさんはとても個性的な子どもたちが多かったので、保育を実践する中で一人ひとりの子どもの名前をあげて、援助の仕方を保育士みんなで考えあい、気づいたことや、子どもたちが語った言葉の記録を書き記して、みんなでまわし読みしながら些細な子どもの変化を受け止めよう、子どもたちの表面的な行動や言動ではなくもっと奥深いところの本当の思いや願いを理解しようという方向でこの間、保育を進めてきました。子どもが健やかに育つことの根っこは、まさに保育園時代という乳児期、幼児期の大部分をすごす場で、子どもたちがどのように過ごし、大人にどのように受け止めてもらえたかにかかわっていますが、卒園を祝う会での子どもたちの表情や目の輝きが、ひよこ保育園の保育実践に向かう姿勢が間違いではないことを証明してくれたように感じました。

  子どもの良さはいろいろで、親しくなるほどに味わいが出てくる子どもも居れば、初対面でも子どもらしい可愛さを体全体で伝えてくれる子どもも居ますが、どの子どもも本当にすばらしい宝物を秘めているんだなぁとこのごろ、改めて思わされています。くじらぐみの子どもたちが祝う会でプレゼントしてくれた歌の1節を紹介します。                          
     
        ♪  おとなも こどもも だれでももってる
            ポケットの中に  たからもの 
           しまいこんで わすれないで たからもの ♪

  都筑ひよこ保育園は3年目に入りました。3年目はとても大切な時と、このところちょっと緊張気味ですので、開花が遅れてやっと咲き始めた桜の花でも眺めてリラックスしようかと思います。リフレッシュして、子どもたちと保護者の方々、職員たちが抱いている「たからもの」を十分生かしきる保育と運営に努めたいと思っています。今年度1年間もまた、よろしくお願いいたします。


                                              園 長 川上 初代

                         





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