奇跡の縁
 主観もありますが、2010年に入ってから、わたしが所属するIT業界にも明るい兆しが見えて来ました。今、業界ではクラウドがもてはやされています。しかし、業界がどのようなトレンドであっても、直ぐにその方向に舵がきれる訳ではありません。大企業であれば、新規の戦略としてリソースをシフトさせていくことも可能でしょう。しかし、わたしが所属する会社は、20人弱の零細なIT事業・・・。大企業の動向をにらみながら、そこにどう絡んでいけるかを考える日々です。

 1年ちょっと前に沖縄の「美ら海水族館」に行きました。そこでは大きな水槽にジンベエザメが悠々と泳いでいました。それはとても迫力あるショーでした。しかし、わたしはジンベエザメの下にくっ付くように泳ぐ、コバンザメに意識が集中しました。そこに、わたしとわたしの所属する会社の現実を重ねていたように思えます。その時は、若干の卑屈さを感じていたように思えます。しかし、あれから1年以上が経過した今では、それを卑屈と捉えてはいません。現実をそのまま受け入れる心の余裕があります。

 そのような余裕がどのように作用したのか、わたしは「人を採用」したいと思いました。別に案件が多数ある訳ではありません。しかし、採用に踏み切ったのは昨年には感じることが出来なかった心の余裕に思えます。

 零細な事業を運営しているにも関わらず、応募者は多数いました。殆どの人は失業中です。数少ない就業中の人も、ワーキングプアを想像させる条件の悪さです。雇用情勢が未だに悪いことをひしひしと感じます。求職者が応募してきたのは、ある種の縁。その方が採用されれば、それは奇跡のような縁に思えます。そんな縁を大切にしたいと思います。(2010/04)
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2010年

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