フローからストックへ

 限りある資源の無駄遣いを無くすための概念として「フロー中心の経済から、ストック中心への経済への転換が必要」といわれます。これはどのような意味があるのでしょうか。

 フローは、経済に関して、ある一定の「期間」で定義される経済量のことです。ストックは、ある「時点」で定義される経済量のことです。風呂桶にたとえるなら、フローはお湯の入りと出です。ストックは風呂桶に蓄えられたお湯です。財務諸表においてフローは「損益計算書」ストックは「貸借対照表」となります。

 長年、日本は勿論のこと、資本主義世界は経済発展を実現させるなかで、フローを優先させ、ストックを増やす政策がとられてきました。例えば、高速道路を作るための予算(フロー)が計上され、高速道路(ストック)が増える構図です。しかし、日本では既に高速道路は過剰です。「無駄な高速道路の建設は廃止するべき」という世論は近年、多く聞かれるようになりました。

 2009年の衆院選で民主党が自民党に圧勝し、政権与党となりました。これは、社会の仕組みを変革したいとする国民の意思表明といえます。フローを優先させた社会は、多くの資源が消費されます。それは公害を発生させ、地球温暖化を巻き起こすだけではありません。地球の資源は限りがあることを考えると、過剰なフローは資源の枯渇を早め、持続可能な社会を失うことになります。

 社会は無駄なフローを抑える必要があります。それは、蓄え(ストック)を増やすのではなく、適正な蓄え(ストック)を計画し、その質を上げ、長寿命化させることが必要となります。先の高速道路で喩えるなら、道路を増やすことが目的ではありません。必要かどうかを見極めることが必要です。そして、既にある高速道路は、国民に効果的に使われるようにしなければなりません。また、新たな道路を建設することにお金を注ぐよりも、既存道路の安全性・利便性を高めるためのメンテナンスに力を入れることが大切です。

 このような変革に対し、わたしたちの日常生活も意識改革が必要です。キーワードは「モノへ愛着を持ち使い続けること」です。例えば、磨り減った靴底は、修理屋さんに持っていくことで、長く履くこと。自動車を買ったなら、それを愛し、定期点検を怠らず、大切に乗り続けること。――こうした意識を持つことが大切です。

 エコライフでは、節約志向が提唱されます。節約志向は、無駄なモノは買わないという、フローの発想です。一方、ストック面からエコを捉えると、愛着志向といえます。一度手に入れたものは、愛着を持ち大切に使うことです。どうしても不要になった場合は、廃棄するのではなく、それを必要としている別な人にリユースするということです。

 モノへの愛着が消費者に定着すれば、企業は、大量生産主義から、修理・サービス・品質向上を重視としたビジネスへの切り替えが進んでいくと思われます。
バランスシートによる日本経済分析―「フロー経済」から「ストック経済」へ

サステナブル
地産池消


エコライフ用語集