自民党内で、国会議員定数の大幅削減や一院制への改革論が、相次いで出始めた。自民党有志の「衆参両院を統合し『一院制の新国民議会」を創設する議員連盟」(会長・衛藤征士郎元防衛庁長官)は16日の総会で、一院制の導入と国会議員定数の3割削減を次期衆院選のマニフェスト(政権公約)に盛り込むよう働きかけることを確認した。(産経新聞/2009.01.16)
●スローなコメント
 一院制論がにわかに浮上しています。小泉純一郎元首相の呼びかけに自民党議員がなびいている形です。シンプルで分かりやすい改革論。合理的に思える発想。――この辺りは劇場型政治を行った小泉さんならではだと思います。

 わたしは記事を見ながら、現在企業で横行している「派遣切り」を連想しました。そもそも派遣労働者が増えたのは、小泉さんの旗振りがあったからです。派遣労働を「働き方の多様性」として高く評価し、製造業に拡大したわけです。その結果、ワーキングプアなる言葉が生まれ、今ではワーキングプアにもなれない、派遣村生活者が溢れたのです。

 合理的な発想は正しいように思えます。しかし正しいと思えることと、人々が幸せになることとは必ずしも一致しません。一院制になることで、なにがどう変わるのか――わたしたちはイメージ出来るでしょうかイメージ出来ないことに共感するのは、とても危険なことだと思います。
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