プロジェクトX−3
〜クリスマス三日前〜
「鏡よ鏡・・・世界で一番美しいのはだあれ?」
「それは紅子様、貴女でございます・・・」
クリスマス三日前。
紅子はいつものように鏡に向かっていた。
薄暗い地下室。
街中はイルミネーションで溢れているのに、
ここだけは別世界だった。
「そう・・・この世で一番美しいのはこの私」
「世界中の男が貴女の虜ですよ」
その言葉が聞きたくて毎日やっている。
でも知っている。
この後に恐ろしい言葉が返ってくるのを・・・
「ただし黒羽快斗、すなわち怪盗キッドを除いては・・・」
「・・・・っ!!」
そんなこと、改めて言われなくたって分かっている。
だけどそんなの許せない。
「絶対、虜にしてみせる」
★
「ねぇ快斗、キッドがクリスマスに駅前のツリー盗むんだって!」
「ぐふっ!!」
青子のドッキリ発言に思わず口から昼食のパンが吹き出た。
「ヤダ快斗、大丈夫?」
「ゴホっ・・・それより、なんでお前そんなこと知ってんだよ?」
(おかしいな・・・予告状なんか出した覚えねぇけど・・・)
「お父さんが言ってたのよ・・・でもツリーなんてどうやって盗むのかしら?」
(こっちが聞きてぇよ!!一体誰がこんなこと・・・)
と快斗が悩んでいると、
後ろからイヤミったらしい言葉が降ってきた。
「相変わらず、仲がいいことで・・・」
「白馬君・・・!!」
青子のことを横目で見ながら、
快斗に向かって囁く。
「黒羽君・・・ちょっと・・・」
「?」
「ツリーなんか一体どうやって盗む気ですか?」
廊下に呼び出され、急にこんな質問をされた。
「はっ・・・?!」
(さっきからなんなんだ・・・?!)
「キッドがツリーを盗むと予告状を出したのか?」
「何言ってんですか?貴方が出したのでしょう?」
「そんなことは聞いてねーよ」
「・・・えぇ、確かにキッドは二十五日のクリスマスに米花駅前のツリーを盗むそうですよ?」
「・・・っ!!」
目の眩むような錯覚を覚えた。
何がどうなっているのか分からない。
「今度こそ、貴方を捕まえてみせますよ」
白馬の歪んだ口元が見える。
自分は予告状なんか出した覚えはないのに、
警視庁に届いた?
米花駅前のツリーを盗む?
誰が?
オレが?
まさかまたあの東風デパートのオーナーじゃないよな?
(コミック三巻参照)
よーし、その誘い・・・乗ってやろうじゃないか!!
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