学校へ行こう!!
〜第三話 中間テスト編〜
「よーい、はじめ!!」
教師のきびきびした声が、シンとした教室中響いた。
五月の末、そう中間テストだ。
(ったく・・・やってらんねーよ)
数学の問題用紙を前にコナンは呆れてた。
中学最初のテストだといって周りは騒いでたが、
コナンにとってはニ回目である。
(灰原だって受けたくねぇだろ・・・?)
隣の席に目をやった。
以外にも彼女はマジメに問題を解いている。
(マジ・・・?!)
「コラ!試験中は前を向け!!!」
三十代後半ぐらいの試験監督の教師が怒鳴った。
ジャージを着ているところを見ると、体育教師だろう。
「はい、すみません」
大人しくまた問題用紙に目をやる。
あの体育教師は見たことがなかった。
おそらく最近来た教師だろう。
(時代は巡る・・・か)
何故だか急に淋しい気分になった。
(まぁ、テキトーにやっとくか)
コナンにとっては簡単な問題だ。
(これで満点とか取って目立つのもヤダしな・・・・)
できれば中学では大人しく過ごしていたい。
周りを少し見渡してみた。
開始十分なのにもう寝てるやつがいる。
(早っ!!元太並だな・・・・)
テキトーに空欄を作り、コナンも寝ることにした。
こうして初日のテストは終わった。
帰り道、いつものメンバー。
口々にテストの感想。
「なかなか難しかったですね―」
「オレなんか三問しか分かんなかったぞ?」
「それは元太君やばいよー」
後ろで遅れること、二人。
「おまえよく飽きなかったな?」
「なかなかひねった問題だったわよ?」
「あっそ・・・」
涼しげな彼女にこっちが呆れてしまった。
そうしてニ日間のテストは無事終わり、
返却ラッシュが始まった。
受験の三年生を優先してか、
ラッシュといってもそこまでではないが・・・・
「やだぁ・・・もう・・・・」
歩美ちゃんの可愛らしい泣き声。
「どうかしたのか?」
なだめるように優しく聞いてあげた。
「理科が・・・・」
悪かったのだろう。
それきり彼女は黙ってしまった。
「大丈夫だよ、まだ一年だし」
今にも泣きそうな彼女を慰める。
「そうよ、女の子は理系科目に弱いものよ?」
(ハハハハ・・・・)
心の中で苦笑し、哀の方を見た。
(バリバリ理系のコイツに言われても説得力ねぇよな・・・)
「そういえば、成績上位者は掲示板に張り出されるんですって!」
思い出したように光彦が言う。
「マジかよ?!」
「えぇ、五十人まで載るそうですよ」
「へえー」
「あ、心配しなくても元太君は絶対載りませんか・・・」
光彦の声は途中でさえぎられた。
もちろん元太に殴られたからである。
(いつからそんな制度できたんだよ?!)
コナンは独りで焦っていた。
隣には相変わらず涼しい哀の顔。
(まさか・・・・コイツ・・・・)
コナンのイヤな予感は的中した。
翌日、職員室前の掲示板に張り出された表。
中間試験成績上位者 一年の部
1位 灰原哀<A組> 498点
2位 川辺昂<B組> 457点
3位 斎藤剛<F組> 453点
・
・
・
「・・・・!!!」
コナンは絶句した。
「灰原さん、すごーい!!」
「一位ですよ!しかもダントツ!!」
「オメーすげぇな」
(オイオイ・・・・)
「あ、コナン君十四位だ!すごいね」
「ハハハ・・・ありがと」
コナンはそれより哀の方が心配だった。
ただでさえ赤髪で目立っているのに、
こんなことして同性の反感とか買わないだろうか・・・・・?
なぜか自分のことのように不安になる。
コナンの様子を察してか、彼女は一言。
「大丈夫よ」
(本当かよ・・・・?)
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