学校へ行こう!!

〜第一話 入学式編〜











「オイっ!灰原、早くしろよ!!」
四月五日朝八時ちょっと過ぎ、阿笠邸の前でコナンは叫んだ。

「うるさいわね・・・・そんなこと言われなくても分かっているわよ」
まだピカピカ新品の制服のスカートを柔らかそうになびかせて、一人の少女が出てきた。



「じゃ、気をつけんじゃよ。哀くん」
「そんなに心配しないでよ、博士」
「オレ達中学戻り組みだからな〜」
苦笑いしてコナンも答えた。





そう、今日は中学の入学式。
あれから五年が経った。
黒の組織は捕まえた。
アジトも壊され、全てが終わったように思えた。
しかし現実には二人はこのままの姿だった。
結局分からなかったのだ。





中学校に向かう途中、元太達に逢った。
「よっ!オレ達今日から中学生だぜ!!」
「元太君の頭はまだ小学生のままですけどね」
二人が後ろでケンカしてると歩美がしゃべりだした。
「ねぇ、コナン君!歩美の制服姿かわいいでしょ?」
「う・・うん、かわいいね」
「とても似合ってるわよ」
「ありがと。灰原さんもとてもキレイだよ」
「ありがと」
少し頬を赤らめて哀は言った。
(ま、灰原の方が似合うよな)
そう思いながら、コナンは隣にいる哀を見つめた。
赤みのかかった茶パツ。学校では大丈夫だろうか・・・・?
雪のように白い肌。
華奢な身体を包み込んでいるセーラー服。
少しドキっとしてしまった。
「コナン君も学ラン似合うね」
「ハハ・・・サンキュ」





それから五人で歩き出し、十分ほど
オレ達が通う帝丹中学校。
(懐かしいな・・・)
独り余韻に浸っていると、哀が話しかけてきた。
「ここで貴方は育ったのね・・・・」
「あぁ・・・・」
クラス表を見に行ってた三人が戻ってきた。
「コナン君と灰原さんはA組。私と元太君はB組。光彦君はC組だったよ!」
「僕だけ仲間はずれなんですよ〜」
「歩美、よろしくな」
「灰原と一緒かぁ・・・・」
「何?文句でもあるの?」
冷ややかな答えが返ってきた。
「イヤ・・・そうじゃなくて・・・・」
(ますますおまえのこと考えちまうじゃねーか)
「じゃ、また帰り逢いましょう」
そう言ってそれぞれのクラスに別れていった。













入学式が終わり、教室に戻ってきた。
コナンと哀はA組。担任はまだ若い男の先生だった。
「今日からこのクラスを受け持つ、斉藤だ。教科は体育、よろしくな!!」
なかなかのハンサムだ。
「いかにも体育系の感じよね」
「ホントに冷めてんな。かっこいいとか思わねーの?」
まだ今日は初日なので席は自由だった。
みんな緊張してるのか静かだった。
「じゃ、簡単に自己紹介でもするか」
すこしざわめきが起きた。
「藍沢啓吾です。出身小学校は〜」
「坂下真実です。趣味は〜」
そんな感じで自己紹介が始まった。
「江戸川コナンです。帝丹小学校から来ました。趣味はサッカー。よろしくお願いします!!」
人は第一印象だ!と思いながら元気よく言った。
「コナンだって!!」
「変なの〜」
あちこちから驚きの声があがる。
(悪ぃーかよ)
でもこれで名前は覚えてもらえたみたいだ。
「変わった名前だな、よし次。隣の女子」
「灰原哀。江戸川君と同じ帝丹小学校出身。よろしく」
(ずいぶんシンプルだな)
苦笑いをしながらコナンは思った。
「灰原か・・・その髪はどうした?」
(きたっ・・・)
「地毛です」
一言だけ答えて、哀は席についた。
(こいつも名前覚えられたな)





こうして新しい生活がスタートした。




















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