JR快速が‘温情‘停車・・・乗り間違え受験生救う

千葉県と東京を結ぶJR京葉線で3日朝、高校受験に向かう電車を乗り間違えた
千葉県内の女子中学生(15)のため、ノンストップの快速電車を途中駅に
臨時停車させる特例措置が取られた。

動揺する中学生を心配した乗客たちの力添えもあり、中学生は試験開始に
ぎりぎり間に合ったという。

中学生は午前9時20分から始まる千葉市内の公立高校の入試を受けるため
午前7時45分ごろ最寄のJR蘇我駅から内房線で千葉駅へ行き、
総武線上り電車に乗り換えて、隣の西千葉駅へ行こうとしていた。
ところが緊張のためか、蘇我駅で反対側ホームにいた電車に乗ってしまった。
これが東京・八丁堀までどこにも止まらない京葉線上り通勤快速。
都県境の舞浜駅近くにきたあたりで、乗り間違いに気づいた。
不安で今にも泣きだしそうな中学生から事情を聞いた周囲の乗客らが、
親と話をさせようと携帯電話を貸したり、車掌と相談するため、
満員の乗客の間を縫うようにして、中学生を最後部車両まで連れて行ってあげた。 
申し出を受けた車掌からの連絡に、JR千葉支社も「若者の将来がかかっているのだから」と
と臨時停車を決め、車内放送で断ったうえで、午前8時10分過ぎ、電車を新木場駅で止めた。

車掌は乗客の安全のため、各車両のドアは開けず、中学生を車掌室からホームにおろした。
中学生は同駅の駅員に西千葉までの乗り継ぎ方法を教わると、
すぐに下りの武蔵野線乗り入れ電車を使い、西船橋経由で西千葉へと向かった。
通勤快速の方は、その後速度を上げて走ったため、京葉線のダイヤに乱れはなかった。

新木場駅には夕方、中学生の親から「おかげさまで娘も何とか試験開始に間に合いました。」
とお礼の電話があった。JR千葉支社では「今回の臨時停車はあくまで特例」
としながら、「これで見事に受かってくれれば」と話している。

<2003年2月5日読売新聞朝刊より>