シルミド

男たちは浜辺に座らせられた。
「やれ」
という合図と共に熱せられた鉄の棒が男たちの背中につけられる。
「うぁぁぁぁ!」
叫び声をあげて、目の前の海へ次々と飛び込んでいく。
しかし、3人の男はその拷問とも取れる行動に耐えていた。
歯を食いしばり体を震わせている男たちに軍服を着た男が問う。
「なぜそこまでして耐えるのだ?」
「これ以上捨てるものがなにもない。」
「俺はどうせ生きてたってほかにやることがないから耐えられたのさ。」
「俺はこいつが耐えているから耐えただけだ。」
三人とも理由は違えど、拷問に耐えるほどの精神力を持ち合わせていた。
軍服を着た男たちは目で合図し軽くうなずいた。



これは真実の物語である。
韓国で起こったバスジャック事件。
それはただのバスジャック事件ではなく、その真相にはとんでもない陰謀が隠されていたのだ。
あらゆる犯罪を行った死刑囚達が死刑を免れるために無人島であるシルミド島へ集められた。
そこには軍服を着た男たちが待ち構えていた。
「君たちはこれから軍の特殊訓練を受け、最強の部隊になってもらう。」
すぐに男の言っていることが理解できなかったが、次に出た言葉は驚くべき言葉だった。
「目的は、北朝鮮に侵入し金日成総書記を暗殺することだ。」
全員がその男を見上げた。あるものは意味がわからず、あるものは顔面蒼白になった。
そして、彼らの拷問とも取れる過激な訓練が始まる。
それは以上とも取れる人間を人間とも思わない訓練であった。
そして、彼らは犯罪者でありながら最強の特殊部隊となるのだ。
だが、北朝鮮潜入の夜、彼らの作戦は突然中止された。
彼らは突然目的を失ったのだった。