戦場のピアニスト
ユダヤ人であるシュピルマンは廃墟となった豪邸で隠れていた。
空腹に耐えかね、偶然見つけた缶詰を開けようとしていた。
道具もなく、近くにあった暖炉の器具で開けようとしたら、
缶が床に落ち、転がって行った。
その先には軍服を着た軍人が立っていた。
「何者だ?」
その問いかけにシュピルマンは
「ピアニスト」
だと答えた。
しばらくシュピルマンを観察した後、
「こい」
と言ってシュピルマンを別の部屋へ連れて行った。
すると月明かりに照らされたピアノが置いてあったのだ。
「何か弾いてみろ」
シュピルマンはピアノの上に缶詰を置くと静かに椅子に腰をかけた。
おそらくドイツ人はシュピルマンがピアニストであるということを嘘だと思っていたのかもしれない。
シュピルマンは大きく息を吸うとピアノを弾き始めた。
久しぶりにピアノを弾ける喜びが溢れていた。
しかし、曲を弾いているうちに徐々に曲が荒々しくなってくる。
それは戦争の無意味さに対する怒り。
そして空しさが曲に現れていたのかもしれない。
第一次世界大戦時にドイツナチス軍はポーランドを支配し始めていた。
そしてユダヤ人であるという理由だけで差別し、虐殺を繰り返し始める。
シュピルマンはラジオ放送でピアノを弾くピアニストであったが、
戦争によりその職をも失うことになるのだ。
ユダヤ人であった彼はユダヤ人だけを押し込めた街に連れて行かれるのだ。
その中でひどい労働を強いられ、シュピルマンは脱走を計画する。
街から逃げ出せたシュピルマンであったが、それは隠れながら生活し、
音楽を一切捨てることを意味するのだ。
数々の人に助けられては、また逃げては隠れの生活を強いられるのだが、
彼はついにドイツ人将校に見つかってしまうのだ。