カレーの名門、新宿中村屋ではインドカレーをインドカリーと呼びます。何故でしょうか?
むかしラース・ビハーリー・ボースという人物がいました。彼は20世紀初頭のインドにおける独立運動の指導者でした。
当時のインドはイギリスの植民地下でした。過激な独立運動を展開するラース・ビハーリー・ボースを許すことが出来ませんでした。身の危険を感じたボースは大正4年日本に亡命します。イギリスは日本政府に圧力をかけ、引渡しを要求しました。日本政府はイギリスの要求を受け、国外退去を命じます。
そこでボースは、右翼の巨頭・頭山満や、犬養毅、思想家・大川周明らの力を借り、新宿「中村屋」敷地内の裏のアトリエに身を隠します。
その当時、中村屋は「買い物の時、少し休める場所をつくってほしい」との声から喫茶部開設を検討していました。そこでボースはインドのカリーライスを紹介したいと申し出ました。それが、伝統の「中村屋インドカリー」の原点だそうです。「インドカリー」は中村屋のボースに対するリスペクトからきたものです。
単なるカレーライス。しかしその背景に歴史の重みを感じます。