地球宝は薄葉図ものの逸品です。過去の人気にくらべて、ちかごろすっかり安価になりました
が、戦時中には地球宝の人気で得た利益で戦闘機を2機献納したという伝説がある名品で
す。そして、関東地方では作り難い品種と言われている。

 


(有)豊明園・万年青の歴史より
昭和7年から全国で展開中の「愛国号」飛行機の献上運動
に呼応して、昭和19年、「地球宝保存会」が全国の「地球
宝」愛好家に売上金の一部拠出を呼びかけて「愛国万年
青号」二機を献納しました。
                献納の感謝状





平成12年、軽部常之、今井威夫氏などと地球宝を見直して楽しもうと意気投合して、東京近辺
の有志が集まり地球宝会を発足する。

 第1回の地球宝だけの作品展を横浜市桜木町のギャラリー慈福庵で開催。

天地宝・阿部性・宮村性・名木橋性・江口性・味水性・姫性などいろいろな系統の作品が50点
ほど一同に展示されたのは実に壮観でした。


 当時、 代表幹事 軽部常之 幹事 今井威夫 三澤利允

 会員 白石雅一 中村 智 城田利尚 竹政健任 唐澤邦彦 大平雅庸 関戸 稔

    橋口幸昭 山ア晃宏 小倉重昌 小浜政夫 長谷川義巳 近藤敏仁が参加する。

 さらに、平成13年に第2回作品展を同じくギャラリー慈福庵で開催。



 そして、第3回作品展は神奈川おもと同好会と共催にてランドマークタワーで盛大に開催。 
その年(平成14年)の秋に第4回作品展をサカタのタネで開催する。

協会会報133号に内野舜二氏の地球宝の一文があります。紹介させていただきます。

 日月星に図の入ったものが明治30年に発見された。発見者の三河の高須
七郎が命名。今では図柄が千差万別で特に図柄の良いものは安藤・名木橋・天
地宝などと呼ばれたりする。今日では図や虎が現れたものを命名せずに肩書
きのまま銘鑑に名を連ねることがしばしばあるが先人は、日月星の図を地球宝
と呼び、縞を天錦章、同じく虎斑を朝陽などと命名するなど理に叶った手続きを
とっている。見習いたいものである。

戦時中、山根清雄が地球宝の人気運動の益金から戦闘機二機を軍に献納、
地球宝号と命名して活躍している。

 最近首都圏に在住の有力趣味者の間で地球宝会結成の動きが出て周囲の
注目を浴びている。常に万人に愛され、いつ人気の導火線に火がついてもお
かしくない状態の人気者である。
第一回の作品展の余剰金から平成12年に日本おもと協会に協会基金と
  して

金10万円也を寄付。
さらに、地球宝を発展して富士の図、旭光宝、お多福の図、輪波獅子、玉獅子の虎などの図虎
の名品を一堂にあつめて、小葉おもと図虎大会の懸賞大会など開いたら面白いのではと考え
ています。・・・・・・(2003・5・10記)






古い会報から・・・・
1963年発行の園芸パラダイス第2号
(日本おもと園芸社)より
 過去おもとの歴史をひもといても地球宝の人気をうしなった
時をしらない。単純ながら清楚、そして典型的な「日月星」に鮮
やかな図の入ったものだが、幾多の人々が過去においてもそ
の夢を「地球宝」に託して蒐集されたものである。その反面に
はこの”おもと”は、そう言った人々の独占自由になることを厭
い嫌うのか、数多くの蒐集するものは殊更に失敗しているよう
で、その例も枚挙にいとまがない程だ。それを思う時、万人に
好まれ、あこがれの的で居たい”おもと地球宝”の意欲のあら
われかも知れない。それでいて、そう言った過去の失敗談を聞
きつつ1鉢であきたらず5鉢尚それ以上の鉢数を集めたい気
持ちにかられるのも「地球宝」である。
 
最初のうちは『地球宝」と名がつく種木でも良いからと求める。
直ぐとその程度であきたらず、もっと良い木を、それに満足す
るともっと良い図性のものと言う順序。大概のお棚にピンから
キリまで揃ってしまうと、どうしても比較検討、よい性のものば
かり、即ち精鋭主義に走りたくなり無性に良いものを、もっと沢
山求めたくなるのが一般の『地球宝」に対する”おもと”作りの
通有性らしい。そう言う人々が、永い間に『地球宝」の図柄や
癖を区別して、何々性、何々口と呼ばれるようになった。そう言
った点について具体的に述べることにしよう。
 名木橋性
  山形市在住の名木橋氏の培養のものであって、その歴史
も古く既に全国的に定評のあるもの、その図性すこぶる良く、
先ず『地球宝」の図性としては第1級品的なのものといえよう。

 安藤性
 小田原市の安藤氏の愛培増殖せられたものを言い、この性
の特徴とするところは、』『名木橋」に比し、若干図性の点につ
いて、一歩を譲るものであるが、その繁殖率については、それ
をおぎなって余りある」もの、伝統的に、図性の良質なものを
好む山形地方の趣味家が同地方に『名木橋」の如き良質のも
のがあるのにかかわらず、この性を高く評価して培養されてい
るのも、故なきにあらずと言える。

 花屋口
 昭和22・23年ごろ、山形県米沢市在住の高野与五郎氏
(通称花屋さん)の培養されていたもの。やや、小型にして、樋
ふかく、図性は前記両品種には劣るも、繁殖は異常なほど殖
え、その割子は、親のまさるほどの美しい図柄を見せるもの、
葉形もやや、中ほどから垂れ気味に曲がるようである。一見す
れば判別容易のものである。

 天地宝
 関東地方の名棚、伊勢原市の増島氏及び藤沢市の榎本氏
等の培養中のもの、既に両氏より各地の趣味者へ棚割せられ
ている。主なる趣味者には東京の河原井氏、秋田の奥山氏、
山形の岸田氏、福井の山岸氏、京都の高芝氏、四国の田淵
氏等の錚々たる名棚、そしてその人達が多年の体験からし
て、その図性の優秀さを認められたものであり、それだけに今
後この種の動きは注目に値する。先ず『日月星」に、図性の優
秀さに依って全国的に認められている『富士の図の中野性」の
ような雪白の打ち込み斑が入ったものと思えば良い。従って他
の『地球宝」の追随を許さぬもの、若干大型に出来、木勢も充
実し、培養も容易、繁殖も頗る良いようだ。

発行人 日本おもと園芸社
編集人 古田 勲









平成16年11月  地球宝会を解散
三澤利允 様       平成16年11月11日
              地球宝会
              代表幹事  軽部 常之
地球宝会の解散について
 秋冷の候、益々ご清祥の御事と存じ上げます。
さて、「地球宝会」は、『神奈川おもと同好会」と共催で、作品展を
行って参りましたがこの度、運営上の都合により会員協議の上
解散することといたしました。
つきましては、地球宝会発足に当りましてご負担いただきました基金を
夫々の方に返却いたすこととしました。(貴殿 負担額 10,000円)
誠に不詳ですが以上ご通知いたし、ご負担分同封の上お送りいたしま
すので、ご實告の上査収下さいますようお願いいたします。
終わりに貴殿の益々のご健康と万年青名作づくりを祈り上げます。
                                 以上
原文のまま