○東神奈川八王子間(貳拾六哩參拾五鎖)  本線各列車ニハ一等客車ノ聯結ナシ  

  四十四年五月一日改正  官有鐵道

  下り列車

列車番号

901

903

907

909

911

913

哩程

二等

三等

東神奈川發

0550

0810

1050

1340

1700

1930

-

-

-

小机      發

0606

0827

1107

1357

1717

1947

4.8

12

8

中山      發

0618

0840

1120

1410

1733

2000

8.4

21

14

長津田   発

0630

0852

1134

1422

1746

2012

11.1

29

19

原町田   着

0642

0904

1146

1434

1758

2024

14.0

36

24

原町田   發

0649

0911

1151

1439

1803

2029

-

-

-

淵野辺   發

0703

0925

1205

1453

1817

2043

17.6

44

29

橋本      發

0716

0938

1218

1506

1830

2056

21.0

53

35

相原      發

0723

0945

1225

1513

1837

2103

22.2

56

37

八王子   着

0737

0959

1239

1527

1851

2117

26.4

66

44

 

 

上り列車

 列車番号

902

904

906

910

912

914

哩程

二等

三等

八王子   發

0550

0820

1100

1350

1620

1940

 −

相原      發

0609

0839

1119

1409

1639

1959

4.2

11

7

橋本      發

0616

0846

1126

1416

1646

2006

5.4

14

9

淵野辺   發

0626

0856

1136

1426

1656

2016

8.8

23

15

原町田   着

0635

0905

1145

1435

1705

2025

12.4

32

21

原町田   發

0643

0910

1150

1440

1710

2028

 −

長津田   發

0653

0920

1200

1451

1721

2038

15.3

39

26

中山      発

0702

0930

1210

1501

1734

2047

18.0

45

30

小机      發

0712

0940

1221

1512

1745

2057

21.6

54

36

東神奈川着

0727

0955

1236

1527

1800

2112

26.4

66

44

 

 

解  説

  

浜   奈 「難しい漢字がいっぱいで良く解らないよ」

浜太郎 「そうだね ぼくが説明してあげよう」

浜   奈 「”横濱線”って横浜線の事?」

浜太郎 「この”濱”は”浜”の旧字体(異字体)でこの時代ではこの”濱”が使用されたんだ」

      「しかし時刻表には”横濱線”の文字はなく、ただ”東神奈川八王子間”と記載されていただけなんだ。」

      「もちろん目次にも横濱線の文字はなかったんだ」

      「では下記の文字について説明しよう」

 

○東神奈川八王子間(貳拾六哩參拾五鎖)  本線各列車ニハ一等客車ノ聯結ナシ  

  四十四年五月一日改正  官有鐵道

 

浜太郎 「”神”の字のしめすへんは”示”が使用されていたが、このワープロでは対応していなく

       表現できなかったんだ」  

浜   奈 「”貳拾六哩參拾五鎖”はなんだか全然解らないよ」

浜太郎 「これは東神奈川と八王子の距離を表しているんだ」

浜   奈  「え! 距離?」

浜太郎 「”貳拾六”は ”26”を”參拾五”は”35”をそれぞれ異字体で数字を現したものなんだ」

浜   奈 「哩と鎖は?  ”たぬき”と”くさり”?」

浜太郎 「たぬきではなく、これは距離の単位なんだ。

      ”哩”はマイル、”鎖”はチェーンと読んだはず、だけどよくお兄ちゃんにも解らないよ

     では、下にまとめておくね」

 

  <まとめ>

26哩(マイル)35鎖(チェーン)

  1マイル=1760yd  26×1760=45760yd

  1チェーン=22yd  35×22=770yd

  1yd(ヤード)=0.9144m  (45760+770)×0.9144÷1000=42.54km

 

浜太郎  「東神奈川と八王子間が約42.5kmあるという事なんだ。

      しかし、この時代では”km”は使用されていなかったんだ。」

      「”本線各列車ニハ一等客車ノ聯結ナシ”は横浜線は2等と3等の

      客車のみで1等の客車は連結していないよということなんだ」

浜   奈 「四十四年五月一日改正  官有鐵道は? 私鉄なの?」

浜太郎 「最初の漢数字は明治44年5月1日に時刻が改正されたのさ」

     「”官有鐵道”はお国が有した鉄道の事で日本国有鉄道(国鉄)の

     前身みたいなものと考えていいんだ」

浜   奈  「時刻表の中の”發”と”哩程”は? 」

浜太郎 「”發”は”発”の異字体で何時出発かを、”哩程”は何マイルあるか:と言う事なんだ」

      「1哩=1マイル=1609m:となっているんだ」

      「表では午前6時9分を”0609”と記載されているが、

      実際には”前六、〇九”と表現されていたんだ。

      ここでは、読みやすく”0609”と24時制で記載したんだ

      午後は”後二.一〇”と書かれていて、ここでは”1420”と表現したんだ。」

      「最後に運賃について説明しよう

      下に官有鉄道の運賃の計算法を示したよ」

 

二等・三等(旅客運賃 単位:銭)

料金 一哩に付  一銭六厘五毛(五〇哩まで)

  例 4.2哩×1.65≒7銭(八王子・相原間が4.2哩)

 

浜   奈 「”一銭六厘五毛”ってなーに?」

浜太郎 「今では使われていないが、貨幣の単位なんだ」

     「1円の1/100を1銭で、1銭の1/10を1厘で、1厘の1/10が1毛なんだ」

浜   奈 「今は1円じゃー何も買えないよ」

浜太郎 「この時代の1圓(円)は、今のお金に換算すると4500円以上と言われているんだ」 

浜   奈 「じゃー 1銭は1圓の1/100だから45円位かー。7銭は315円ですね」  (参考 7×45=315)

浜太郎 「八王子から3等で相原までが 、その当時7銭だから、現代と比較すると

      約2倍以上だね」

浜   奈 「んー よくわかった。ありがとう」

       「でもー 東神奈川・八王子が1時間50分もかかったの?それに本数も少ないし」

浜太郎 「明治41年開業時は1日7往復してたが、官有鐵道になって6往復に減ったんだ。」

            「この当時は2編成が走り、八王子・東神奈川でほぼ同時に出発して原町田ですれ違ったんだ」

      「まだ電車は走ってなく、汽車(蒸気機関車)で、今でも各地で走っているような機関車ではなく

      馬力も小さく、スピードも出なかったんだ。ちなみに男子マラソンが約2時間10分だから

      いかに遅かったか想像できるね。また八王子では、石炭や水を補給したり、機関車を

      先頭に移動したりで時間がかかったんだよ。」

      「この頃は利用する人も少なく、これで十分だったんだろうね。きっと2〜3両の

       客車を蒸気機関車が引っ張っていたんだろうね」

   <ワンポイント レッスン:蒸気機関車の事を汽車と呼んだ>  

浜   奈 「よく わかったよ また、教えてね」

浜太郎 「いつでも聞いてね お兄ちゃんが解る事なら、このホームページで答えるよ

       あまり難しい事は解らないかもね」

   <間違い等がある場合は連絡して下さると嬉しいな>