Tchaikovsky
(1840-1893)

◆組曲「くるみわり人形」   (1892)
 チャイコフスキーの“三大バレエ音楽”−「白鳥の湖」(1876)、「眠れる森の美女」(1889)、そして死の前年に書かれた「くるみわり人形」(1892)−は、ただの伴奏音楽ではない、より交響的な響きと芸術性において、近代バレエ音楽の伝統を完成させ、それはストラヴィンスキー、プロコフィエフらに受け継がれていく。

 この演奏会用組曲は、バレエの初演より前に初演されている。当時発明されて間もないチェレスタという楽器を使い、評判を得た。

《あらすじ》
 クララの父は市会議長、そのクリスマス・パーティー。(第1曲〈小序曲〉)
 こどもたちは美しいクリスマスツリーのまわりではしゃぎ始める。(第2曲〈行進曲〉)
 クララと弟フリッツの名付け親ドロッセルマイヤーは二人にそれぞれプレゼントを渡すが、夜10時になってもだだをこねて、二人は子供部屋に行こうとしない。そこでドロッセルマイヤーは兵士の格好をしたくるみわり人形を一体渡す。ところが二人は奪い合い、どうどうフリッツは人形を床に叩きつけて壊してしまう。かわいそうに思ったクララはこの人形を応接間の小さなベッドに寝かせてやる。

 寝付けないクララは、そっとベッドを抜け出し様子を見に来ると、時計が12時を打ち、不気味な気配が漂う。突然に、ハツカネズミの大軍とおもちゃの兵隊たちの戦争が始まる。そのうち、くるみわり人形がネズミの大将との一騎打ちで重傷を負い、クララはとっさにスリッパを投げ、危機を救う。・・・と。どうであろう。くるみわり人形はたちまち美しい王子の姿に変わり、クララの前に跪き、命を助けてくれたお礼に彼女をお菓子の国へ招待したいと申し出た。

 二人は連れだってお菓子の国へと出発する。そこでは、女王のこんぺい糖を始め、いろいろなお菓子の精の歓迎を受ける。コーヒーの精の踊る〈アラビアの踊り〉(第5曲)、お茶の精の踊る〈中国の踊り〉(第6曲)、コザック姿の〈ロシアの踊り〉(第4曲)、アーモンド菓子の羊飼いの女があし笛を吹きながら踊る〈あし笛の踊り〉(第7曲)、が次々と披露された後、こんぺい糖にかしずく砂糖でできたバラの花の侍女たちの華やかな〈花のワルツ〉(第8曲)が踊られる。
 最後にこんぺい糖の精と王子によってグラン・パ・ド・ドゥが踊られる〈こんぺい糖の踊り〉(第3曲)−この曲でチェレスタが使われている−クララはお菓子の国の王冠を贈られる。・・・・・夢。(Y.C)


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