Mozart
(1756-1791)


◆2台のピアノのためのソナタ K.488 ニ長調  (1781)
 この年モーツァルトは、大司教コロレド伯と決裂し、ザルツブルグの宮廷音楽家を辞職し、自由な音楽活動を求め、ウィーン生活を始める。ザルツブルグ時代に11回、延べ10年にわたる演奏旅行で、パリ、ロンドン、ローマ、マンハイムなどを訪れ、様々な楽派の様式を吸収していた。それゆえに狭苦しいザルツブルグに魅力を感じなくなっていた。

 この3年前、マンハイムでウェーバー家の次女アロイジア(ソプラノ歌手)に入れあげるが、失恋。しかし、主人をなくし、ウィーンで下宿を営んでいたウェーバー家との交際が81年に再開。翌82年8月、三女コンスタンツェと結婚する。

 ウィーンでは、当初相次ぐ予約演奏会、ピアノ教師、楽譜の出版、など評判を着実に上げるが、円熟の頂点を迎える数年のうちに、経済状態が悪化。急迫の晩年を過ごすこととなる。

 モーツァルトのニ長調の作品はギャラントなスタイルを持つが、このソナタはその中でもブリリアントな作品と言われている。親しみやすい顔の裏に、繊細な心の動きが見られる。(Y.C)


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