ヒロセ流キャラクター論 著者:ヒロセ
・ゲームの面白さとキャラクター
初めに結論を言えばキャラクターというファクターはゲ−ムの面白さに
非常に重く響くものだと思います。それは当然小説、漫画などにも同じ事が
言えるでしょう。そしてそれはストーリー重視のゲームだけでなく、システム重視
であっても言えることだと思います。例えば「ぷよぷよ」です。パズルゲーム
というジャンルは基本的にストーリーは皆無です。「ぷよぷよ」もそれに
該当しています。しかし、このゲームがパズルゲーム史上テトリス以来の
ヒットをおさめたのは、単純かつ面白いシステムだけでなく、個性的な
キャラクターによる力が大きかったのではないでしょうか?
魅力的なキャラクターが作ることが出来れば、多少、ストーリーに稚拙さが
あったとしてもキャラの力で十分カバー可能です。初心者の人には、ストーリーは
無理をせずに単純な形にまとめ、個性が強くて分かりやすいキャラを用意して、
それで押し切るというのがお勧めです。そういう意味で「息子よ。這い上がれ。」
は模範的ですね。
それと、キャラクターの数は作品の質を下げない範囲内なら多ければ多いほど
いいと思います。その範囲は自分で考えてください。落ち着いた雰囲気で
たんたんとしたゲームなら範囲はごく狭いものになるし、ワイワイ系なら
その逆です。キャラが多く出れば出るほどプレイヤーの好きなタイプのキャラが
出易くなるという極めて単純な原理ですがこれは大きい効果です。
・キャラクターの組み立て方
さて、実際のキャラクターの作り方です。まずキャラから作る人もいるそうですが
自分はストーリーを作ってから作ります。これは人によるのでどちらが
いいとは言えません。作りたいものから作っていくのが一番ですね。
ちなみに具体的に作りたいものがないのに漠然となにか作りたいと思って作り
始めても絶対にいいものは作れません、というより挫折します。
気をつけましょう。自分は、形にしたいと思うものがメッセージ性の含まれた
ストーリーであることが多いのでストーリーから作っているわけです。多分、
システム重視の人は作りたいシステムがあって、それに都合の良いストーリー
もしくはキャラを作っていくんでしょう。
キャラを作る場合、とにかく個性をつけるということを常に頭に入れて
おきましょう。ただなんとなく設定しようとすると間違いなく面白みのない
キャラが大量生産されることになります。また、ここでオリジナリティが重要に
なります。ありがちな個性はたくさんつけても無個性に等しいので。
とりあえず、強い(or重要な)個性2ポイント、それなりの個性1ポイント
として、超重要キャラで5ポイント、そこそこ重要キャラで3ポイント、
あまり重要じゃないキャラ1ポイントというようにノルマを設定してみては
どうでしょう?外見はその後作ったほうがいいかもしれません。
漫画で絵が綺麗だとかえって個性の薄いキャラが出来やすいイメージが
あるのですが、多分どうしても中身よりも外見を重視してしまうからではないか、
と思ってしまったりするわけです。
…作り方といっても基本的にはこんな程度しか言うことないですね。あとは
自分の心の趣くままに、でもいいんじゃないでしょうか?
主人公を作る場合に限定したアドバイスも加えておきましょうか。主人公のコツは
(同性の場合)「自分に近く、かつ少し距離を置いて」です。人間的に
自分に近い方が作りやすいし、逆に正反対の人物を主人公に据えても
作っていても面白くないということは誰もが分かっていることかもしれませんが、ここで強調したいのは「少し距離を置いて」の部分です。完璧に自分の分身を
主人公にしてしまうと自己満足に陥りやすくなります。トリイ君と以前、
オタクアニメはオタクが主人公を自分の分身として楽しむものじゃないかという
話をしたことがありましたが、それも同じようなものです。そういう側面を
持ったアニメはオタクにしか楽しめないし、自己満足のゲームは自分にしか
楽しめません。現在、大学で「坊っちゃん」の研究に関する講義を受けて
いますが、あれは漱石が自分の松山での教師時代をモデルとした話です。そこで
漱石が主人公の赴任先を松山をモデルの架空の町とし、文学嫌いの理系人間にしたのは主人公と自分との一致を避ける意味もあったのではないかと推測します。
また、男性クリエイターはヒロインに自分の理想像をそのまま当てはめるのも
やめましょう。自分のでなくとも理想像はむやみに当てはめないほうが無難です。
女性プレイヤーにあまりいい印象は与えませんし。女性クリエイターが男の
主人公を作る場合も同様です。
さて、とりあえずの所、言いたいのはこのくらいでしょうか。まとめると、
・キャラクターの出来はゲームの面白さと密接に関わってくる。
・キャラクターは個性を十分に練って、作品の質を考慮しつつ多めに作る。
という感じでしょうか。…ふう疲れた。
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