星も見えないこんな夜は、貴方をきっと見つけられないのね。
明日なんて見えないこんな夜でも、貴方は逢いに来てくれるのね。
「貴女を想うとき、僕は永遠を感じる」
「永遠なんて」
「永遠を信じない?」
「貴方は信じているの?」
「少なくとも、神よりは」
「知っている?日本人は都合の良いときだけ神をでっちあげて祈るのよ?」
―もし神がいたら、こんな残酷なことはない。
「流れ星に3回願い事を唱えると叶うんだって」
「一瞬のことだから、3回も言えないわよ」
「試してみない?」
「こんな日に?」
「だったら、何を祈る?」
「世界平和」
―祈りなんて、通じない。
「僕が誰だか知っている?」
「例え貴方が誰であろうとも、関係ないわ」
「君の瞳に、僕はどう映っている?」
「目が2つあって、鼻と口が1つずつに見えるわ」
「…その他には?」
―緋色が見える。
「…何も見えないわ」
「かっこよく見えたりしない?」
「雲が多くて、月も星も出てないんだもの」
「じゃあ、昼間見たらいいかもね」
「昼間じゃ、お互い誰か解らないわ」
「街で逢っても知らない振りしないでね」
「だから、見つけられないって」
―貴方は見つけられる?
「見つけてね、オレのこと」
「嫌よ」
「どんなに離れても、ちゃんと見つけてあげるからさ」
―それは、別れのことかと思った。
「じゃあ、またね」
「えぇ、また」
―この気持ちも、いつか傷のように癒えて、ただ治るだけ。
白き者は、手袋を外して左手を差し出す。
ひんやりと冷たい手から、小さな手へ色が移る。
―それはそれは、鮮やかな緋色。
「これ付けとけば、いつでも見つけられるでしょう?」
「色褪せないようにしておくわ」
―流れ星に祈る願い事が見つかった?
いつかまた出逢うときのためのサイン。
色が乾いたら、昼間に逢いに行こう。
そのときは、髪に紅いリボンでも付けておこうか。
貴方に見つけてもらうために。
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