信州の御蕎麦屋編「浅田」「せきざわ」
戸塚 寛
JA1PYP
新宿発9時の「あずさ9号」が松本に着いたのは正午前でした。 お昼はお蕎麦にします。 松本駅から歩いて12〜13分の深志3丁目にある「そば処浅田」に行きました。 新大久保駅前の「近江屋」のように江戸老舗そばや風ではなくモダンな雰囲気のお店です。 店構えは暖簾だけが蕎麦屋風です。右は店内の様子。
とにかく広いスペースでゆったり出来ます。 厨房もこれまた広く動きやすく出来ていました。 ここで10割そば(1000円)を注文しました。 後で調べたら限定15食でこれを食せたのは運が良かったようです。
日本酒は各種ありましたがせっかく松本で飲むと言うことで 地元の善哉酒造が出している「女鳥羽の泉」500円にしました。
冷で呑むには良い加減です。 アテは杉板に味噌を塗り付けてあぶった焼き味噌です。 他に山葵の葉の醤油漬けを頼みました。 どちらも400円です。 松本市内の居酒屋はこの「女鳥羽の泉」を置いてある店が多いようです。 良いことです。地場の蔵元を潰しては情けない。 肝心のお蕎麦はとても良い歯ざわりで美味でした。 後で調べたら元ホテルマンの脱サラ開業のようで 店の作りが納得できました。 今は若い女性がグループで入れるおしゃれなお蕎麦屋でないと 人気がないのかも知れませんね。

さて次の日は朝10時発の「信州」で長野市に向います。 車窓から北アルプスが見えました。
本当は大糸線の白馬あたりまで行って雪の北アルプスを 真近に見たかったのですが残念です。 昼前に長野駅に到着。 長野電鉄に乗り換えて小布施の先にある「都住」に下車します。 そば通の方はもうお分かりですね。 「せきざわ」です。 私この「せきざわ」には思い入れがあります。 今から20年ほど前に週刊誌のクチコミそば名店全国ベスト10にこの関沢さんが出ていました。
まだ切り抜きが残っていました。この中でもう閉店した店も有るのでしょうか この特徴欄にある自家栽培、自家製粉が気になっていました。 都内にあるお蕎麦屋にはすぐ行けたのですが場所柄 自家製粉も無理であろうと考えた訳です。 現在は赤坂あたりに電動石臼が見えるように置いてある店はありますね。

私の菩提寺は高崎の聖石橋の袂にある曹洞宗の「龍広寺」です。 父が亡くなってから墓参りのため高崎に頻繁に行くようになって この「せきざわ」を思い出し、箕郷町まで足を延ばして通うようになりました。 今は高崎市に合併されていますが当時は町役場とパチンコ屋だけが大きな建物で 周りは田畑だったような気がします。自家製栽培も納得しました。 畑に無理やり広い県道を通して工業団地を誘致しているような埃っぽい感じでした。 カーナビもない時代に上芝だけでよく行きつけたと思います。 非舗装の広い駐車場があり下水のにおいが漂っている雰囲気でした。 とにかく人気店で畳の座卓はいつも満員でした。 外で待っていた時もあります。当然三昧そばを注文しましたが もりが二八で田舎が10割だったような記憶があります。 数年前にグルメ雑誌のそば特集だったかで「せきざわ」が小布施に 移転したことを知りました。

電車は小布施を過ぎて「都住」に到着しました。駅名看板を写真に撮っていると 電車はなかなか発車しません。そうです。無人駅でワンマンカーの運転手さんが 切符を回収するためにホームで待っています。 慌てて渡しました。
私のほかに若い男女が降りました。 「これもせきざわだな」と思いましたが 何かうろうろしています。 こちらは地図が頭にありましたので 線路に沿って斜め右に歩いて行きます。 途中に神社がありました。神社を過ぎると人家はなく一面のりんご畑(多分)です。
しばらく歩くと遠くに道路が見えました。 あの道路の沿線にあるなと見切りをつけさらに歩きます。 ありました。 ずいぶん立派な店になりました。角地にあり駐車場が横道沿いにあります。右は道路に面した庭です。
玄関と暖簾です。

今度の店は立派な待合室があり少し待たされました。 神社の写真を撮っていたうちに追い抜かれた男女ともう一度御挨拶です。 待合室からガラス越しに店内を見ますと満員ではありません。 この配慮は良いです。席に着いてから待たされるより良い。 夫婦二人でやっているサービスに限度があるし一品一品丁寧に作るための 店主のポリシーなのでしょう。 高崎の店で問題点、改良点をよく考えていたのでしょう。 一人なのでカウンター席に通されました。 端に先客がいましたが間は空いています。 ゆったり出来ます。 定番の冷酒と三昧そばを注文します。 お酒です。奥に見える細長い片口にお酒が入っています。右は三昧の最初の一枚。

部屋は広く綺麗で暖炉が素敵でした。店主の白髪は増えましたね。 蕎麦は文句なしに美味しいし汁は東京風ではなく甘みを抑えて 蕎麦の味が生きるように研究されています。 蕎麦湯を飲むと良くわかりました。

帰りに奥様とちょっとお話をしました。 箕郷店時のリピータがわざわざ訪ねてきたと思ったのでしょうが 浦和から来たと言ったら驚いていました。 「お待たせしちゃってすみません。ありがとうございました」に関しては 酒を飲みながらゆっくり文庫本を読んでいたので 良い空間に居させて頂いてこちらこそ「ありがとう」でした。 もう二度と来れないでしょう。 ご馳走様でした。 この1400円は非常に安いと思いますが浦和からの交通費がね。 信州にお住まいの方は話の種に一度は行くべきです。

注:帰ってから調べたら「せきざわ」の蕎麦畑は長野県にあり遠くて通うのが億劫になり畑の傍に移転したとありました。

帰りは須坂で下車です。 目的は「田中本家」ではなくその裏にある 「普願寺」です。 中学の同級生の母上の生家であることを最近知りました。 調べたらなにやら有形文化財指定の名刹であることがわかり 見に来たわけです。 参道もありそれは立派なお寺でした。表参道の門と寺務所の門。
本道と客殿から本堂に続く廊下です。
庫裏と最近造営した檀家が集まる客殿
鐘楼と山門から望む本道
文化財の説明
 
 
「蕎麦処浅野」 の緯度経度は 36°13' 50.07" N 137°58' 31.90" E
「せきざわ」 の緯度経度は 36°41' 27.70" N 138°19' 22.52" E
 
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