Force12 C4−XLの改造

(アンテナ顛末記その3)

  2002.09.15 JA1PYP
C-4XLはForce12社のベストセラーアンテナであるC-3に7MHzの2エレであるEF-240Sが同一ブーム上に乗っているアンテナです。故に本改造はC-3、C-4にそのまま応用できます。
C-3はマルチモノバンドアンテナと称するとおり、フルサイズの2エレ(28MHzは3エレ)の八木アンテナが3種類ある構造です。バンド幅が広く、大変使いやすいアンテナですが、以前使用していたトライバンドCQと比較すると競争に勝てません。そこで21MHzを3エレ、28MHzを4エレに改造することにしました。これはJA1KVT局のアイデアです。
28MHzの3エレですが、よく見ると反射器なしの導波器2本の3エレです。ここに反射器を追加することは、誰でも考えることで、既にForce12社C-3E、C-4Eというモデルは、28MHzのみ4エレになっています。2002年のハムフェアで社長のトムさんが来日された際、Eモデルへの追加キットを販売すると言っていました。(このアンテナは価格表には出ているのですが現時点ではHPに写真等は出ていません。)
当初の改造案は次の通りです。
28MHzの第2導波器を改造してトラップコイル付きの2バンド導波器にする。
21MHzの輻射器の後方に28MHzの反射器を増設する。
この改造案が出たのは8月中旬でした。それならば何とかAll Asia Phoneに間に合わそうと具体的な検討に入りました。第2導波器の先端を改造して、トラップコイルを追加します。

Force12の純正インシュレータはグラスファイバー製ですが、これは無理なのでベーク棒を介してエレメントを継ぎ足し、自作コイルとコンデンサは同軸ケーブルを使用する予定でした。しかし、よく考えると反射器用のエレメントは新しく購入しなければなりませんし、もし失敗したら元に戻すことも考慮して、国産メーカの2バンドに同調する導波器を保守用部品として単体購入しました。

エレメント径が同等の軽量タイプを選択しました。価格は送料、消費税込みで9470円です。
銀行振り込み後、翌日にはエレメントが届いていました。工作の時間、外観を考えるとベストの選択でした。 28MHzの反射器は購入品への交換で不要になる第2導波器に1m定尺のアルミパイプを半分に切って挿入しC-3の余り部品のリベットで止めています。Force12社のアンテナはC-3に限らず最先端はφ9.5のアルミパイプを使用しているようです。この径に継ぐにはφ7oのパイプがベストです。しかしこれはJIS規格ではないので見つけるのに苦労しました。購入費は300円でした。
この改造結果はというと約1Km離れた、JA1KVTに改造前の電界強度パターンを測定して貰い改造後と比較しました。21MHzでは改造前はフロントで9+6dBであったものが、改造後は9+12dBに、又FB比は約10dB改善されました。21MHzに関しては耳も良くなり、フルサイズの3エレになったという実感があります。
問題は28MHzです。反射器の長さを5.35mとして7MHzの輻射器の前方約50pに設置しました。 前方利得はわずかに上昇したもののFB比は逆に悪くなりました。
この改造は8/31,9/1に行ったのですが時間切れと言うことで、AAコンテストにはそのまま出場しました。 SWR等は問題なく、交信に支障はありませんでした。9/14からの3連休で第2次改造を行いました。ハンドブック等では反射器の寸法は5.3から5.6m迄のデータがあります。下から見上げても輻射器と反射器の寸法差がないようなので、5.54mに延ばして、再設置してみました。延長すると前の孔が見えるので、新しいエレメントを使用しました。エレメント間隔としては2mを目安としたのですが、7MHzの輻射器のリニアローデング線と接触しそうなので、前方30cmとしました。(この表現はおかしい。そのときのエレメント間隔は?と言う疑問はあると思いますが、このアンテナは7MHzの輻射器と21MHzの反射器の間にマストがあり、命綱を目一杯延ばして身体をブームと平行にした姿勢での作業なので、このような表現になりました。仕様書から引き算して下さい。)
結果は前方利得が5dBアップしたのですが、ビームパターンは崩れ、FB比も悪くなりました。さらなる問題は、影響で7MHzの共振周波数が50KHz以上下がったことです。
再び50pに戻してみました。結果は面白いことに、3エレのオリジナル状態と同様のデータとなったことです。アンテナが反射器を無視している。輻射器と近すぎるのだと思います。難しいですねアンテナは。7MHzの輻射器がある場所に28MHzの反射器を置くとちょうど良い感じなので、C-3では上手くいくような気もします。
しかし、Force12社ではC4Eを出しています。このデータが判るまで、改造を待ちますか? 以上が現状報告です。次回は7MHzの後方にある、21MHzの反射器の場所に28MHzの反射器を設置し 後方近傍に21MHzの反射器の追加を試してみます。
良い結果が得られなければ外せば良いし、この余ったエレメントを更に延長し、24MHzの輻射器として動作させる方法もあるので、しばらくアンテナいじりに挑戦してみます。
エレメント購入先その他の詳細資料をご希望の方はご遠慮なく下記に御連絡下さい。
また、他によいアイデアがあれば御教示下さい。お願いします。
ja1pyp@jarl.com
 

追記

2002.09.30 JA1PYP
9/21からの連休でまた改造を始めました。アンテナを下からしげしげと眺めると、21MHzの反射器の位置まで28MHzの反射器を移動するのは現実的ではありません。(超々ワイドスペース)そこで取り敢えず、役に立っていないばかりか7MHzに影響を与えている追加反射器を取り外しました。分解して物置に仕舞う前に、元々導波器のみの3エレというのは何か理由があったのではと考え、ダメ元で導波器のみの4エレに挑戦しました。
オリジナルの第2導波器を片側10cm延長としました。追加エレメントは1回目の改造品の再使用です。 設置場所はオリジナルの第1と第2の丁度中間にある、ブームジョイントのマスト側にしました。
結果は成功でした。反射器を付けたわけではないので、FB比は多少改善されたかな程度ですが、サイドもきれいに落ちるビームパターンはそのままで、JA1KVTに再計測してもらった結果、フロントで9+5dBが9+10dBになりました。他のバンドへの影響は全く感じられません。気分良く運用しています。 C-3、C-4ユーザの皆さん、1万円也のグレードアップは如何でしょう。
後は、Force12社のC-4Eはどうなっているのか(まさか導波器のみの4エレではないと思いますので反射器の位置)が楽しみです。
尚、計測はFT-1011に32dBのアッテネーターを挿入し、ほぼ同じ高さに上げた八木ANTを使用したもので、値はアナログSメータの指示値です。
戸塚 寛

 

1mの定尺で購入したφ7のアルミパイプを 半分に切断。パイプカッタを使えばきれいに切断出来ますが どうせ片側を既存のパイプに挿入するのですから、金鋸で切断しました。 片側35.5p延長しました。(最初の改造)
ドリルのキリは安くても新しいのを揃えた方が 無難です。リベット用の孔3.2φ、リベット外し用3φ、 下孔用1.5φを使用しました。 クロモリ入りの高級品を3本買うより普通SKD(工具鋼)の 中国製のセットを買う方が安い。アルミ材なので問題ない。
細いパイプなので、いきなりφ3は滑ります。 センターポンチを打つより、φ1.5を使えば希望の位置に 開けられます。2ヶ目の孔を開ける前に1ヶ目にはリベットを 差し込んで置く。
2ケ目の孔完成。 エレメントの長さを可変したいときは外側パイプの 孔を端面より、かなり内側に孔開けする必要があります。 写真は可変が出来ない悪い例です。 リベット2本止めとして2ポジションの場合 内側パイプの孔は3ヶになり、3ポジは4ヶになります。 最長の時、内パイプの孔がむき出しにならないように するには当然そうなります。 可変ピッチ(長さの調整シロ)とリベット間隔は 同一です。故に可変の場合は作図、ケガキ後、 作業に掛かりましょう。
Force12社のアンテナの最先端は全てφ9.5oのパイプです。 そこにφ7oのパイプを繋ぐとこのように仕上がります。 違和感はありません。リベットかしめ作業も必ず隣の孔に リベットを挿入しておきます。
購入品のトラップコイル付き導波器がブームの先端に付いています。
1回目の完成写真です。エレメントクランプの孔開けが不適当で1本だけ 曲がって付いています。これは失敗作です。 参考にしないで下さい。
これが3回目の改造完成写真です。 1番目が購入品の2バンド導波器、2番目がその外した導波器を延長した 28MHzの第3導波器です。
全体完成写真です。6バンド動作で10エレメントです。(写真をクリックすると拡大した写真が見られます)