その5(04/03/06)
北京の道路事情
 北京のタクシーは1.2元、1.6元、2元の三種類ある。すべて初乗りは10元なので近場は同じ金額だが、距離が長くなると差が出る。1.2元と1.6元のタクシーの外観はほとんど同じ。大きさ、というか小ささもほとんど同じである。とにかく小さい。北京のタクシーの多くは運転席を箱のようなもので囲んでいる。アメリカと同じでタクシー強盗を防ぐためなのだろうか。その箱のために運転席の真後ろの席は特に狭い。靴をまっすぐ入れられないほどである。

 北京のタクシーは安い。1.2元でも2元でも北京市内は大体10元から20元でどこへでも行ける。日本人にとってのバス感覚の金額。我々ビジネスで北京に来ている者にとっては、多少は大きい2元タクシーに乗りたいくらいだが、地元の人や、留学生たちは1.2元を選んで乗るそうである。彼らは1.6元タクシーが来ると身を引くので、おかげでタクシーが捕まえやすいメリットもある。実は庶民の足は、まず徒歩か自転車、次がバス、地下鉄があって最後がタクシーとなる。

 ところで1.2元も1.6元もほとんど同じ大きさと外観だが、留学生たちはたくみに見分けている。ラジオのアンテナが真ん中にあるのが1.6元で左端にあるのが1.2元、とのこと。ようするにタクシー用に製造している車はずっと同じデザインで製造しているということ。聞けばフォルクスワーゲンのサンタナも20年間くらい全く同じデザインで製造しているらしい。
 北京でタクシーに乗ると毎回が冷や冷やである。
 冷や冷やの理由その1. 彼らはよく車線を変える。ちょっとでも隙間があるとすぐ車線を変える。前しか見ない、まず車線変更する、もし後ろに車がいるとクラクションを鳴らされるので元の車線に戻る。前しか見ないで猪突猛進で運転するのでとても怖い。
 理由その2. 車間距離をとらない。どちらかがちょっと油断するとすぐ追突する。それほどひどい事故でない追突事故や車線変更による接触事故はよく見る。なぜか重大事故は見たことがない。しかし、毎年10万人が交通事故で死んでいるらしいから重大事故も多いはず。
 理由その3. なぜか脇道から出てくる車が一時停止をしない。いつもクラクションを鳴らしている彼らも脇道から一時停止をしないで出てくる車はそれほど文句を言わずに入れる。話は変わるが中国では車は右側通行で右折は赤信号でも出来る。交差点で左折する場合にも直進の対向車がいてもかまわず左折する。
 理由その4. とにかく歩行者と自転車が赤信号だろうがなんだろうがかまわずに道路を横断する。北京の大きい道路では右端の車線は自転車用である。彼らは車が走っているぎりぎりを自転車や車で走るのでタクシーに乗っている身としては、これも怖い。
 もちろん歩いていても怖い。
 中国では車は赤信号でも右折が出来る。アメリカも常時右折可能だが歩行者や、直進する車がいたら一旦停車して、しかる後にゆっくり右折する。しかし、北京では歩行者がいても押しのけて右折する。直進車がいてもあまりスピードを落とさずに入ってくる。どこかで勘違いして右折が出来る、ということは運転者の権利だから、右折優先、となってしまったのではないだろうか。そのために脇道からメイン道路に右折で入る時も遠慮せずに入ってくるようになったのではないだろうか、などと考える。今度はそれが進んで、左折も優先、なんてことになったのかもしれない。信号のない道路で左折車が直進車を止めて左折するところをよく見る。
 交差点を歩いて渡ろうとすると、後ろ左側から右折してくる車、前方左側から左折してくる車、右側から右折する車と前後左右すべてに気を配らないと安全に渡れない。信号の無い道路を渡ろうとすると右と左からびゅんびゅん走ってくる車の隙を見て渡らないといけない。なれないとなかなか渡れない。
 北京空港のビルの前の道路を渡るのもおおごと。歩道はあるのだが車は全然止まらない。
 北京の道路はものすごく渋滞する。徒歩で10分くらいで行けるところを30分以上かかった経験もある。主要な環状道路の出入り口から入る車と出る車が交錯するので、まず出入り口近辺では大渋滞する。一般道では歩行者、自転車が遠慮なく車道に入り込むのでこれも交通を妨げる。右折や左折で入ってくる車も多い。

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