アンテナ顛末記

 
2001.12.12   JA1PYP
   
1.

はじめに

  この顛末記をホームページに掲載するに当たって、force12社の日本総代理店であるエレクトロデザイン社の木下社長に許可を求めたところ快諾して頂くと共に下記のような最終コメントを頂きました。ありがとうございます。
 
  戸塚様
  ハムクラブのホームページに掲載する原稿を事前に送付ありがとうございます。 この件ではForce12とはかなりシビアなやり取りがありました。
  Force12 のアンテナにかける情熱は並大抵ではなく、我々もそれを信じて販売しています。 EF180Sに関しては、販売実績があるにも関わらず、戸塚様の指摘があるまでは、全くクレームが入っていなかった事は事実です。この事は全く信じられま せんが、米国のユーザーはみな10Tくらいのコイルを継ぎ足して使っているのだと思います。
  Force12の社長自身も始めは我々のクレームを何かの勘違いと思っていたようで す。 最後に、実際にアンテナを実験してようやくその事に気が付いたようです。 その結果改造したアンテナを部品ではなく1式送って来た事に現れています。
 
そして、当社の残りの在庫4本分のパーツが本日到着しました。 取り説も新しくな り、戸塚様の分も入っていましたので、お送りします。 そしてアンテナの型番が EF-180SからEF180SLに変更されています。 おそらくEF-180Sは製造中止にするのでしょう。今回の顛末の最後を飾る結末です。
 
木下
   

2.

アンテナ顛末記

  こうして、タワーとアンテナは完成したのですが、問題は調整です。
  C4-XLというアンテナはトライバンドのC-3と7MHz用2エレ(EF-240)が同じブームに搭載されている物で単独の取説はありません。C3につ いては、取説通りに組み立てたのですが、21MHzのみが7MHzの影響か周波数がCW帯に同調していました。エレメントの最先端の繋ぎは穴が3ケあり中 央を選択していましたが、一番内側に変更しました。クランクダウンすると、2階の屋根から作業ができるので、簡単でした。EF-240はヘアピンマッチコ イルの幅調整もあり、同アンテナのユーザーでもあるJA1KVTにお任せで、私は、ベランダでSWRアナライザーとにらめっこしていただけでした。中心周 波数7055でSWRが1.1程度に収まりました。3.5のEF-180は基本的には、3.8MHz用なので、予め、エレメントを1本足してあります。と ころが、何回計っても、中心周波数が4.4MHzです。購入品のアンテナである以上当然組立ミスと考 え、ローカルを総動員して、同軸コネクタのハンダ不良、エレメント及びリニアローディング線の接触不良等チェックしたが、ギブアップ。
  輸 入代理店のEDC社にSOSを発信し、アンテナを引き取っていただきEDC社の霞ヶ浦の試験場で再測定の結果、設計に不具合があることが判明しました。結 果として、冒頭にある木下社長のコメントのように私のためにForce12社が新しいアンテナを設計製作し、写真のように9月23日に設置しました。
   
  EDC社よりプレゼントされたリレーBOXの内部
  バルコニーでのエレメントの組立。中央に見える白い丸筒の内部にHI Qの巨大なコイルがある
  完全武装でアンテナ取付中のJA1PYP本人撮影はJA1TGC
   
  最 初に、アウタースプレッダーとリレーBOXがあれば、エレメントを継いで長くしてあったのでそれなりに使えたかなという気もしています。ですから、今更リ ニアローディングを短くして周波数を合わせるよりも、巨大なアルミコイルを外して、また、エレメントを延長しようかと考えています。
  今回の件でForce12社と代理店であるEDC社への信頼は逆に深まりました。 末永くこのForceアンテナ群と付き合っていきたいと思いますが最後に使用した感想を記します。
  最 大の特徴は短縮ダイポールとしてはSWR 1.5以下の範囲が非常に広いことです。残念ながらフルサイズの 3.5のダイポールは使用したことがないので比較できませんが、同じリニアローディング方式のEF-240S(7MHzの2エレ八木)はバンド内チューナ なしでカバーできます。C3はフルサイズなので当然です。 別の特徴として、私には関係ないのですが、事実上許容入力の制限はありません。使用バランで決まります。 ハイパワーの局は安心して使用して下さい。意外だったのは、風に強いことです。 C-4XLは前述したように、EF-240SとC3が合体したもので、10mのブームにエレメントが9本も付いている巨大なアンテナですが、エレメントが 細く耐風圧面積が驚く程小さいカタログ値に嘘はないことを実感しています。 肝心の電波の飛びはと言うことになりますが、これは何とも言えません。私のロケーションはさいたま市の浦和駅 から直線で650m程の住宅街にあります。しかし、商業区域になっており建坪率80%、容積率400%、高さ制限なしです。廻りにマンションが建ち並んで きています。タワー建設記の冒頭にありますように、30年前の廻りに何もない条件の16m Highのキュビカルクワッドと比較すると競争には勝てません。C3は基本的に2エレの八木ですから 当然と言えば当然です。1本のタワーで全バンド適当に楽しめ、3.5のロータリダイポールを廻しても隣家に領空侵犯しない。というコンセプトで選択したも のです。25m Highの3.5MHzのロータリダイポールはそれなりに快適です。
  以 上皆さんのアンテナ選択肢の一つとして正直な感想です。電波をもっと飛ばしたい方はForce12にも強力な アンテナが多々あります。本文中に判らない語彙もでてきているでしょうから、下記EDCのホームページを参照して下さい。メーカのForce12社にもこ こからリンクしています。 http://www.edcjp.jp/
 

アンテナを調整し、W6KWと59で交信出来.るまでの顛末はこちら。

   
3.

最後に

  組立不良の質問から始めた長い長いメールの遣り取りを以下に示します。
   
"戸塚 寛" wrote:
昨日連絡のEF180Sの件、如何でしょう。 一部3重パイプは正解でしょうか? リニアローディング線が2m余るのは、 正解でしょうか? 以上お願いします。
 
戸塚様
お 世話になっております。 考えられる理由といたしましては、エレメントを繋ぐ際に内側と外側を間違って しまうことが挙げられます。この間違いを犯してしまうと、エレメントの長さが短くなってしまい、本来の性 能が得られなくなってしまいます。 エレメントのパーツには、繋ぐ部位に油性ペンで線が入っており、この部分が内側になります。 この間違った繋ぎ方は出来ないようになっております(リベットの位置が合わなくなりますので)が、例外がある可能性もございます。 お手数をおかけ致しますが、お確かめいただきますようお願いいたします。
 
戸塚 様
早速、ご質問にお答えいたします。 まずスタッドの向きですが、マストに上がっている状態では、見上げた状態でエ レメントが左右方向に突き出している位置において、右内側のスタッドが前方で左内側のスタッドが後方、もしくは右内側が後方で左 内側が前方になっていれば正常です。パイプが三重になる件ですが、取り説にも記載されていますし、在庫品を全て 調査した結果からも、三重で問題ございません。おそらく繋ぎのパイプ径の都合からだと思われます。 リニアローディングの3.8mは間違いございません。ワイヤー類は長めの寸法で梱包されていると思います。 エレメントからスプレッダーアームへの高さは60cmで間違いございません。 原文では2feetですが、この寸法の少々の違いは同調周波数にあまり影響ありません。 実長はご指摘の通り、約8m+3.8m×2+2.4m=約18mになります。 この寸法は3.8MHzには少し短すぎますが、センターの4ターンヘアピンマッチコイルを含めて、3.8MHzに同調する計算になります。何かご不明な点等ございましたらご連絡下さいますようお願い申し上げます。
 
"戸塚 寛" wrote:
現状その通りになっています。 以前木下さんから、一番長く調整しても 3.5MHzにはならないと聞いていましたので、エレメントを足しています。3.5MHz以下を期待して後は チューニングワイヤを調整の目論見が4.4MHzが実状です。 下ろして導通チェックしかないですか。
 
"戸塚 寛" wrote:
4/26にマストの下部まで下ろしました。 クランクアップなので、屋根の上からチェック出来る状態にして、ローカル2人に手伝ってもらい長さを測定。(エレメント片側8m以上あります。) エレメントの先に鰐口で線を追加。両エレメント共、共振周波数は下がる。 (エレメント先まで導通はある。の確認) スタッド部のリニア線を外して、絶縁を確認。(絶縁不良だと片側が8mになってしまう。) スタッド部の両端の導通を確認(リニアローディング部の導通不良をチェック) 全て正常でやはり共振点4.3MHzです。 前に、別のバランと別のフィーダは試しました。 もう、お手上げの状態です。 申し訳ないのですが、よろしくお願いいたします。
 
戸塚 様
お世話になっております。 弊社の技術者がお伺いいたしたいと思います。そこで、最後に2点だけご確認をお願いします。 1)スプレッダのスペースはどの位でしょうか(初期状態 約2.44m、日本語マニュアル6ページ参照) もし2.44mでしたら、可能な限り広くとって下さい。 2)ヘアピンコイルは取り付けておられるでしょうか。 答えは同じでついに見に来て頂くことになりました。
 
"戸塚 寛" wrote:
EF−180Sについて、 見に来てチェックしていただく件ですが、タワーに乗った状態では、多分見ても判らないと思います。「下ろして、分解しておきましょうか? 庭に高さ1mで再組立するスペースはありますが。 4m×4本をルーフキャリア等で持っていってください。 もう商品ではないので、自由にデータ取ってください。(今後スイッチBOXを付加して販売するための) オリジナルの状態で仕様書にあるとおり、3.6MHzに同調したら、返してください」 という提案は如何ですか?
 
戸塚様
大変ご迷惑をお掛け致しております。 弊社にて動作の確認を行いたいと思いますので、全部分解して調査いたしたいと思っております。 ですから、アンテナを降ろす際には弊社から数人お手伝いにお伺いさせていただきます。 それで全て分解して、持ち帰りたいと思っております。日程ですが、いつ頃がよろしいでしょうか。 出来得る限りご希望に添いたいと考えておりますので、ご希望の時間等ございましたらお知らせ下さい。 ご迷惑をお掛け致しておりますが、よろしくお願い申し上げます。
 
"戸塚 寛" wrote:
こちらこそよろしくお願い申し上げます。 勝手を言って申し訳ないのですが、6/2は如何でしょう。(雨でなければ)時間は合わせます。 そちらが休日でしたら、別の方法を考えます。遠慮なく連絡下さい。 導電グリースを塗ってリベット止めなので多分問題ないと思いますが、分解したら、 アンテナコートが隙間に入って導電不良の結果ですと申し訳ないですね。
こうして、6/2にローカルのJA1TGCとアンテナを下ろし、EDC社に引き取って頂きました。
 
戸塚 様
ご迷惑をおかけいたしております。 弊社にて組み立てて測定してみましたが、戸塚様と同じ数値となりました。 そこでForce12社に問い合わせてみたところ、リレーボックスを取り付けて使用 することが前提となっておりました。 現在、そのリレーボックスを大至急取り寄せております。 当然無償にてお使いいただきますので、誠に申し訳ございませんが今しばらくお 待ち下さいますようよろしくお願い申し上げます。
 
"戸塚 寛" wrote:
報告は受領致しました。 リレー箱の回路が不明ですが普通に考えるとリレーBOXの接続線でそんなに周波数が下がるとは思えません。 給電部の詳細説明が書いてあるのに(バランor同軸ケーブルのループ)何か納得出来ませんね。 使用前提なら「マストのこの位置にリレーBOX付けろ」等の説明があってしかるべき。 納得出来ないのは御社の方でしょうからお任せします。 納期ですが、どのくらい待てばよいのか? 概略教えてください。
 
戸塚 様
大変お世話になっております。 Force12社から連絡が来まして、向こうの出荷日は6月28日になることが判明致しました。 ですから、戸塚様へのお届けは、7月上旬頃になる予定でございます。 大変ご迷惑をお掛け致しておりますが、よろしくお願い申し上げます。
 
戸塚様
EF-180Sのアンテナでは大変ご迷惑をおかけしております。
リ レーBOXが入荷し、そのアンテナを霞ヶ浦の実験場で実際に8mのタワーに設置して共振周波数の測定を行いました。たしかにリレーBOXの接続線と、内部 の残留インダクタンスで、多少共振周波数は下がりましたが、3.8MHzには程遠い状況である事がわかりました。 何度かのForce12社とのやり取りを重ねた結果、にわかに信じられませんが出荷に手違いがあったようです。 もともとEF-180Sは一番短い3.8MHzのアンテナなので、リニアローディングをダブルで使っていたようです。 この事はマニュアルの冒頭でも述べられています。 その後、組立てが簡単なように改良が加えられ、あのサイズでも3.8MHzに同調するようになったようです。 しかしその改良版には、エレメントの中央絶縁部分の少し手前に十文字にアウタースプレッダなるものを取り付けて、リニアローディングのワイヤーをメインの エレメントから離す工夫がされているらしいのです。 勿論、マニュアルにはそのような記載も、部品もありませんし、当社の在庫にもそのような部品は含まれていません。どうも改良途上のEF-180Sの資料に よって作られた製品が当社に入荷してしまったようです。 現在、事実関係をForce12社でも調査中です。こちらから当社にあるマニュアルをForce12社に送り、検討してもらっております。部品の追加で済 むのか、エレメントの一部を変更するのか、今の所は把握できていませんが、必要な追加部品が決まり次第、当社まで送ってくる事になっております。部品が到 着したところで、再度フイルドで試験を行い、3.8MHzでの共振が確認された後にアンテナをお届けしたいと考えています。 アンテナ工事を一日も早く完成させたいお気持ちに対して、一日、一日と時間が経過して行く事を大変心苦しく思っております。
 
"戸塚 寛" wrote:
諒解致しました。
木 下さんの今回の回答は一番納得します。木下さんにSOSを出して引き取って貰う前にローカルを総動員して色々調査しました。(フォースのアンテナがおかし い筈がない。組立ミスである。)の先入観は当然ありました。 リレーBOXの使用前提は信用していませんでした。何故かというと、フォースの価格表に書いていない。 今、会社なので、詳細は忘れましたが、マグナムシリーズの3.5の2 ele?に*マークでリレーBOX付属等が記載してある。また、別の欄にEF-180S?(Sではなくもっと長い物)にオプションで、3.5MHzにリ レーBOXを使用しないで同調する、オプションのスプレッダーがあると書いてある。 故に、何も付けなくとも3.8MHzには同調するはずである。確かに、EF-240Sの取説と比較すると、長さの指定が明確に書いていない。エレメントの 中央に絶縁物があり、長さ約4mである。 スプレッダーの位置がエレメントより60cm上(英文でも2フィートと書いてあった)とあり、あとは、ダクロンロープの写真しかないのでリニア線は4m以 上にはなりようがない。 前にも質問しましたが、取説に梱包線長は3.8mと書いてあったような気がするが、実際はかなり切りました。 エレメントよりの高さが、書いていなかったら、そのままでは3.5には同調しないとわかっていましたから、 (英文の取説表題には4.0から3.6MHzと書いてあったような気がします。) 2mぐらいスプレッダーを上にして、ローディング線を切らなかったかも知れません。 でも形状としては異様ですね。 ダブルリニアローディングは知っています。 絶縁個所が2個所あり、スプレッダーが上と下についているそうですね。 ローカルの話ですと、川口市とJA4に使用者が居るとの話しですが、木下さんのお話ですと、御社よりの販売では無いのですか? 何れにしろ暑くてアンテナ上げる気しませんので、フィールドデイコンテストの3.5はあきらめます。 お宅の在庫の問題もあり、お察ししますので、何も言いません。よろしくお願い申し上げます。
 
戸塚様
メールありがとうございます。
た しかにリレーBOXを入手した時に、リレーBOXまでにフィーダーの線の長さが30cmらいしかなくBOX内部の線を足しても50cmくらいにしかなりま せん。実験するまでは、もしかして上手くいけばと思っていましたが、やっぱり足りず、10回巻きのコイルを追加してようやく同調しました。 この結果をForce12に送って見たのですが、先方も先入観があって組立ての間違いではないかとの回答があって、その後、数回のやり取りでようやく製品 の出荷時に間違いがあった事が判りました。 部品は今週中にアメリカを出荷する予定なので、この週末くらいには到着するのではと見込んでいます。 勿論実験の上、納入いたします。切ってしまったリニアローディングも、新しいものを取り寄せますので、ご安心下さい。 Force12のアンテナは2年以上前に建てた方はアメリカから直接輸入したのではと思います。 その頃はEF180Sはダブルリニアローディングだった ようです。 また最近、西日本のハムショップでForce12を輸入すると言っている所がありますが、アメリカの販売店で購入したものを何らかの安い運賃で日本に持ち 込んでいるようです。 Force12の社長に確認した所全く知らないので、おそらく直接のサポートを受ける事ができないと思います。しかし、どの程度が 平行輸入されているか、ちょっと不安です。Force12の良さはかなり技術的な背景が必要で、今回のような問題でもちゃんと解決しようとすればそれ何の エネルギーが必要になります。 国内総代理店としてやるべき事はちゃんとやるつもりですので、今後ともよろしくお願いいたします。
 
"戸塚 寛" wrote:
お世話になっております。現状の工程は諒解しました。
フォース12のホームページを見ても日本の代理店は御社だけですね。 部品送付とありますが、実はピンと来ていません。木下さんは理解しているのですか? ジャンパー線は2.4mありましたが、先日の説明ですとマスト付近で並行するジャンパー線の間隔を広げる為の十文字スプレッダーが別にあるとのことでした ね。エレメントに並行してべつのスプレッダーがあるとすれば、 ジャンパーの2.4mでは足りないのでは?調整は不調だったにせよ、当該アンテナの取説とキットの内容は一致していました。(注:これは私の勘違いで、リ ニア線をエレメントからすぐ離すスプレダーでした。) ダブルリニアからシングルリニアの過渡期とは言え、そういう物が出荷されるとは信じられません。 新しい取説が早くみたいですね。実は他の要因もまだ否定できない。単にエレメントが短いのではない感じです。リニアローディングのC成分がどう影響するの か私には不明ですが、地上高25mで他の建物の影響は少ない状態で同調周波数の4.4MHzは別としてSWRは異常に高い。 注:このSWRの件は後ほどでてきます。 (通常のダイポールならバランも入っているしそれなりのSWR値になると思うのですが。) 御社での調整ではSWR値はどうでしたか?ヘアピンマッチのコイルを調整しても下がりませんでした。
 
戸塚様
本 日EF-180Sの新型が入荷しました。 改造部品のみ送ってくるはずたったのですが、開けてみたら完全なセットでした。 アウタースプレッダも入っていましたが、それに加えて、パイプの径が10mmくらいのアルミパイプで作った巨大なローディングコイルが付属してきました。 結局、アウタースプレッダで、リニアローディングを延長し、面積を広くしてもまだエレメント長は不足のようです。最後の不足分に巨大ローディングコイルが 追加されたようです。 アメリカでは実際にテストしたものを送ってきましたので、今回は間違い無いと思います。 念のため、霞ヶ浦で実験の上お送りします。 今ちょうど、ハムフェアー直前で、社員総出で準備の真っ最中なので、申し訳ありませんが、ハムフェアー後にテストをすることになります。
 
戸塚様
昨日、EF-180Sの実験を霞ヶ浦で行いました。 以下の条件で測定した共振周波数は3.67MHzでした。
  設置高さ: 8m
  リニアローディングの幅: 最大
  ジャンパーの位置: マストに一番近い位置より10cmくらいのところ
  リレーBOX: 接続せず
 
リ レーBOX接続なしでも3.8MHzに同調可能です。 実際にはリレーBOXを併用するので、その浮遊インダクタンス加算されてさらに共振周波数は下がり ます。  リニアローディングの幅やジャンパーの位置を移動して任意の周波数に同調可能と判断しました。 実際のアンテナは完全に設計変更されたもので、アウタースプレッダ以外に直径10cmくらいの巨大なアルミパイプ製のコイルが給電点に付加されています。   アウタースプレッダの位置は特に指定されていませんが、写真をお送りしますので、参考にして下さい。 アンテナ本体は新品のものをそっくりお送りします。 クロスマウントは50mm対応で入荷したので、元のアンテナのマウントに交換します。 またセンタースプレッダのマウントも戸塚様が加工したものに交換してお送りします。 コイルはプラスチックのケースに入っています、ふたは硬いですが、引っ張れば開きます。 アンテナの設置時に、コイルの保護カバーとして利用します。 コイル部分の組立てだけ少し複雑ですが、要はエレメントがグラスファイバーで絶縁されていて、その両側にコイルを接続します。コイルのもう一方の穴には、 プラスのタップネジが入っていますので、それをはずしてコイルを固定します。最後にカバーが入るように、組立て前にコイルのカバー等をエレメントに通して おく必要があります。 英文マニュアルは翻訳していませんが、内容は元のマニュアルと大差ありません。 リレーBOXは色々とお手数をおかけしたお詫びに差し上げますので、ご活用下さい。 リレーの切り替えスイッチはちょっとチャチなので、あとで別な箱に取り付けると良いでしょう。
 
"戸塚 寛" wrote:
実験結果諒解しました。取説は英文でかまいませんが、組立写真等変更されているのですか? フォース12社の見解も聞きたいですね。 前のアンテナは何だったのか。コンピュータシミュレーションだけで製品化した物なのですか? すばらしい会社ですね。(これは皮肉ではなく、今までの実績としてその値が一致していたからこそ可能) 世界中で何台出荷していたのか? 「No Problem」の常套句を言っていたのでしょう?たぶん。 ほんとうのNO.1ユーザが私だった。というのなら、話は分かる。(許すとは別ですが) 御社さえよければ、直接メールをもらいたいものですね。正直に原因を語って頂きたい。 ALLJAのために購入したアンテナですが、残りは全市全郡だけになりました。 クロスマウント等は前回のもので諒解ですが、別にダクロンロープがリニア線で切れない処理がしてあります。 忘れずに。
 
戸塚様
今回の件では大変ご迷惑をおかけして申し訳ございません。 今回の問題はおおよそ以下のような状況で起こりました。
ま ずEF-180Sは3.8MHz用のロータリーダイポールのショート版として設計され、初期のものはダブルリニアローディングでした。リニアローディング を2往復させて長さを短縮したものがダブルリニアローディングです。この手法は1.8MHzのアンテナにも現在使われています。 当社がEF-180Sを仕入れる少し前に、このダブルリニアローディングを廃止してシングルリニアローディングに設計変更がなされ、その時からアウタース プレッダが導入さました。 Force12の取り説もアウタースプレッダが簡単な構造であるために、説明書本文の記載を変更せずに、巻末の説明で簡単に触れていました。残念な事に、 我々に出荷されたEF-180Sはアウタースプレッダが無く、取り説のアウースプレッダを記載した補足説明部分が脱落していたために、説明書を見る限りア ウターは、我々にとって存在しない状態でした。 Force12側の調査では、我々が一括して在庫の目的でアンテナを購入した時に、当時生産数の少ないEF-180Sを製造する時に、取り説の補足分が脱 落したものを参照してしまったようで、何らかのミスがあった事のようです。 戸塚様からのクレームをForce12社に伝えて、最初に得た回答は組み立てを確認して下さいといった内容でした。 Force12側では当時アウタースプレッダなしのアンテナと取り説がエレクトロデザイン株式会社に出荷されているとは認識していませんでした。 その後の何回かのやり取りでようやく、両者が違ったものを前提に話をしていることがわかったしだいです。 アウタースプレッダをつけたEF-180Sは米国内で多数の販売実績があり共振周波数に関するクレームも無かった事は事実のようです。 これだけ問題になったので、Force12社でもアウタースプレッダを送る前に、EF-180Sを組み立てて共振周波数を確認した所、EF-180S単独 では4MHzにしか同調しないことが発見されました。 それまでの販売実績およびクレームが無かった事からForce12でもこのアンテナの問題には気付いていなかったようです。 おそらく、米国ではユーザーはリレーBOXと同時に購入して、共振周波数はリレーBOXのコイルの調整などで済ませてしまい(コイルを巻き足す必要はあっ たと思いますが)クレームを上げていなかったのではと恩われます。 この事がますますForce12社に疑問を持たす事無く販売が継続されていた原因と思います。 最終的に大型のHi-Qコイルを追加する事でリレーBOXなしで3.7MHzまで共振することができるようになりました。 個人的にはリレーBOXの使用を前提に、コイルは最小限にすべきと思いますが、設置場所やスタックにするアンテナの影響ども考慮して、より安全な範囲をカ バーできるようにしたのだと思います。 米国では容易に損害賠償の訴訟が起こせるので、商習慣で、間違いに対しての文書による謝罪はなかなか出てきません。今回、部品でなく、新品のEF- 180Sを一式送って来た事が、アメリカ流の誠意と解釈しています。
 
"戸塚 寛" wrote:
連休でアンテナを上げました。結果はリレーBOXがついた状態で3.1MHzよりちょっと上が同調点でした。 リニアローディング線はかなり長くしているので予想通りです。 リレーBOX使用で、3.57と3.52になりましたので取り敢えず電波は出ました。 しかし、SWRが異常に高い。原因はアンテナのインピーダンスが非常に高い。 4Tのヘアピンを規定通り1吋ピッチにして、タワーを下げた状態でディップ点が判る。 タワーを上げると振り切れてディップ点が判別できない。インピーダンスが200Ω以上ある。 ヘアピンを目一杯広げた状態で、使用しています。

質 問:霞ヶ浦では、アンテナ単体で、試験でしたね。 ヘアピンはかなり縮んでいましたが(デジカメ写真)SWRはいくつでしたか? フルサイズではない短縮型アンテナはインピーダンスが低くなるから、それを上げるためのヘアピンコイルと理解していますが、アウタースプレッダーの効果で それほど下がらず、(でも短縮コイルが追加?) 4Tが多すぎることありませんか?

別の話:(クラニシのアナライザーの性能が原因?) この理由は、送信機のSWR計ではまともな数値を示します。 友人のJA1IZZはC3SSを使用しているのですがこのアンテナもアナライザーでは送信パワーが 異常に小さい為か(JA1KVTはパワーが原因かも?と言っている)異常値を示すが送信機ではOK。 気になる事柄:英文の取説に近くにラジオ局云々が書いてあったと思いますがあの意味教えてください。 色々ありましたが、交信は出来ています。 もう少しで完璧になると思いますのでご教示ください。
 

戸塚様

以 前のアンテナの状態でもリレーBOXを併用した状態で給電点に直径50mmのコイルを10回巻きで3.8MHzに共振していましたから、アウタースプレッ ダとコイルの合計でかなり共振周波数は下がったと思います。 個人的にリレーBOXはかならず使うのであそこまでコイルの巻き数を多くする必要はなかったのではと思います。 SWRはクラニシのアナライザーで測定した数値ですが、SWRは1.5くらいは出ていました。 こちらの測定条件は地上高8mでアンテナは1本のみです。 Force12のアンテナで、EF240/230という7MHzと10MHzの2バンドのアンテナがありますが、このアンテナとWARCバンドのアンテナ をスタックにした時に、7MHzの方にかなり干渉があり、ヘアピンコイルを目一杯広げる必要がありました。 WARCバンドのアンテナを取り外し、試験した所今度はヘアピンコイルの巻き線の間隔は指定の間隔付近でマッチングが取れるようになりました。 一度取り付けの角度を45度くらい曲げて試して見て下さい。 ヘアピンコイルとアンテナの合成インピーダンスが200Ωになったのであれば、ヘアピンコイルの巻き数はさらに少なくする必要があります。 最小ではU字 型の文字通りヘアピンまで試してみて下さい。 それでもうまくいかない時はアンテナの角度を45度くらいに曲げる事を試してください。 この場合C-3XLから見るとEF180Sが多少邪魔な存在になりますが。 SWRアナライザと送信機で測定したアナライザは本来同じ値を示すはずですが、アナライザの測定は低レベルの信号をアンテナに送って測定するので、測定し ている信号が微弱です。 Lowバンドのアンテナの場合、エレメントが長くBC帯の放送の電波による電界強度によって影響を受ける場合があります。 この場合は送信機で測定したSWRの方が影響を受けにくいのでそちらの測定値が正しいと考えて良いと思います。
 
"戸塚 寛" wrote:
お世話になっております。貴重な情報ありがとうございました。